(※画像はイメージです/PIXTA)

誰もが研修医や新入社員の時代というのは、仕事に不慣れなこともあって精一杯やっているのに、思うように動けないという経験があったのではないでしょうか。できるだけのことをしているつもりでも、結果につながらない。人によっては、まるで這い上がることのできない蟻地獄のような永遠の苦しみにさえ感じたことがあるのかもしれません。今まさにこうした状況にいる研修医の方々にとって、先輩方はどうやって抜け出したのか気になるところ。ここでは医師なら誰もが通る道、惑い苦しむ研修医時代の、よりよい過ごし方を探っていきます。

落ちていく気持ちは、“動く”ことで引き上げる

大多数の企業にとって新入社員は、基本的に即戦力ではありません。当然ながら研修医も、先輩医師や看護師にとっては戦力外。信頼され、仕事を任せられることはそうそうあるものではありません。もちろん、これまで努力を重ねてきただけではなく、国家資格も取得しているわけです。決して能力がないわけではありません。研修医たちが未来を担う大切な大切な金の卵であることも、まごうことなき真実なのです。

 

ただ待望の人材ではあっても、最初から一人前の医者になっているわけではありません。もちろん、多くの関係者にしても、その点はじゅうぶんに理解しているところ。ただ、当の新人たちからすれば、「できるところ見せなくちゃ」「早く一人前に!」というような、あせりを抱えてしまう気持ちも理解できます。ただそうしたあせりが、これまで蓄えてきた知識をうまく活用できず、現場で失敗を重ねてしまう自分にがっかりすることにもつながってしまうのではないでしょうか。もしかすると、最初に身の丈以上の期待を自分で持ってしまい、ひとり前のめりになっているからかもしれません。

 

研修医とは医師の入門段階。圧倒的経験不足ゆえ、物事をそつなくこなすスキルなど、これから備えていくものです。それなのに、「どうしてできない?」「うまくいかないのはなぜ?」と戸惑うのは、よくよく考えればおかしな話。それよりもまず、何も持たず何もできない自分を、しっかり自覚すべきなのかもしれません。

 

また、うまくいかないと落ち込み悩むことも、自身に追い打ちをかけるよくないアクション。考えたところで解決策など見当たらず、それどころか、何も持たない空っぽな自分がくっきりはっきりあらわになるだけ……。このように苦悩することで陥りがちなのは、無力感に拍車がかかり、さらに深みへと沈んでしまう傾向にあるようです。

 

こうしたやる気を喪失し負のスパイラルにハマり込まないためには、自分について考えたり評価したりしないことが重要なのかもしれません。目の前に山積する仕事についてはとことんまで頭を使うとして、自身の現状や先行きに関しては、あえて思考を停止。「自分なんて……」と思い詰めるのはやめて、何でもいいから前に踏み出す、うまくいかなかったら行動を変えてみるなどと、不安定な心の舵取りは、考えるのではなく本能に任せてしまえばいいようです。

 

また、ネガティブに傾きそうになったら、とにかく動くことをおすすめします。研修医の心を支えるのは、忙しさです。現場に翻弄されること、訳もわからず右往左往することが、自分を救う手立てとなるようです。

「お荷物である」という開き直り

医療の現場では基本的に、失敗してもいい、やり直しOKという状況はあり得ません。もちろん研修医であっても、失敗が許されるわけではないのですが、そういうことが起きないように指導医がついています。ともに働く人々は皆、未熟な人材をカバーする覚悟を持っていますし、何かある前にフォローしなければいけない、何かあったら自分がどうにかしなければならないと思っています。

 

当然、自分たちの仕事が増えるのは重々承知で新人に向き合っていることでしょう。これはつまり、研修医のようなビギナーには、「お荷物となる」ことが許容されているということ。だったらスマートな振る舞いは今すぐ諦め、開き直ってしまえばいいのかも。一生懸命やって踏み外す、的外れなことに邁進する……など、周囲の期待を裏切らない、自分らしい働きをすればいいのではないでしょうか。

 

もちろん、寛大な周囲に甘えすぎてはいけません。できることが少ないぶん、選り好みせずに何でもかんでもとことん力を尽くすこと。誰にでもできる雑用レベルのことだって、気持ちを抜かず向き合ってみれば、何かが少しずつ変わっていくはず。そうした小さな積み重ねが、現状突破のカギとなるのではないでしょうか。

強がることなく、預ければいい

傍目には足りないところだらけであっても、研修医たちは皆、十分すぎるほど頑張っています。無力感こそがまさに、その証明。それなのに、まだまだ、もっともっとと追い込んでしまったら、名誉挽回・汚名返上どころか、さらにすり減って立ち直れなくなることもあるかもしれません。

 

そんなことにならないように、自身をしっかり癒してあげること。とことんパワーを使い果たした時、差し当たって自分にできることは自己肯定。周囲はなかなか、ほめたり認めたりはしてくれないので、「よくやってる」「十分頑張ってる」と、セルフでいたわってあげるといいでしょう。そうすれば張り詰めた空気がやわらぎ、こわばっていた心身も一気にほぐれていくはずです。

 

病院という場所は、プライドがせめぎ合うプロフェッショナルの極致。しかも研修医にとってその場にいる人々は皆、ポジション問わず大先輩。それゆえできないことやわからないことは素直に聞いて学ぶしかありません。ただ、その結果として自分を追い詰めてしまうと、無力感や失望感に襲われてしまうことも確かです。だからこそ、できない・わからない自分を責めるのではなく、素直に心を開き、先輩方からの教えを吸収するのが得策です。

 

できていないという事実に変わりがなくても、着実に成長する自分の姿を客観視すれば、自分を無駄に追い詰めることがなくなり、きっとラクになれるはずです。
 

 

 

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