50代からの人生戦略は意識改革から始まる
人生100年時代を迎えるにあたり、私は人生を次のように区分けする「新・孔子の人生訓」こそが現代の日本の現実に即していると考えるようになりました(図表参照)。
25歳から50歳までを「青年期」、50歳から65歳までを「壮年期」、65歳から80歳までを「実年期」、80歳から95歳までを「熟年期」、95歳から110歳までを「大人期」、110歳から限界といわれる120歳までを霞を食って生きる(?)「仙人期」とする(10歳から25歳までは少年期)。
青年期だけは25年間ですが、ほかはすべて15年間の区切りです。
この新・孔子の人生訓の最大の特徴は、キャリアづくりの期間は「青年期・壮年期・実年期」の3期にわたり、25歳から80歳まで、合わせて55年間に及ぶと位置づけたことです。もちろん、後述するようにそれぞれのキャリアづくりの構成は異なりますが、キャリアづくりは3つのフェーズを経験できる。
つまり、50代は、人生の後半戦に入るのではなく、3期にわたるキャリアの2期目の始まりになる。50代からの人生戦略は、この意識改革から始まるのです。
企業・組織に勤めるビジネスパーソンの場合、50代になると、いわゆる「後半生」の仕事や生き方に不安や悩みを抱える人が多くなるといわれます。
会社で早期退職の募集があったり、「定年」が視野に入ってきたりと、これから先の人生について、迷ったり悩んだりしている50代の会社員は多いことでしょう。さらに、「老後資金2000万円」問題が取り沙汰され、長生きが「リスク」といわれるようになると、なおさらでしょう。
しかし、長生きは社会にとってコストが大きい、個人にとってはリスクが大きいという話ばかりが先行しているのは間違っています。お金などの個別の問題について考えることから始めるのではなく、まず、自分の人生のとらえ方を変えるところから始めることが大事です。
50代からは、3期にわたるキャリアの2期目の始まりであって、むしろチャンスととらえるべきである。それまでできなかったことができるようになる実りの時期を迎えることになる。人生や生命を意識するライフコンシャスな生き方が始まる。その意識改革が必要なのです。
久恒 啓一
多摩大学大学院客員教授・宮城大学名誉教授・多摩大学名誉教授