<検証2021年度国公立大医学部入試>志願者「隔年現象」後期廃止で前期、推薦シフト進む

<検証2021年度国公立大医学部入試>志願者「隔年現象」後期廃止で前期、推薦シフト進む
(※画像はイメージです/PIXTA)

2020年の春以降、多くの医師が自らの感染リスクと隣り合わせになりながら、新型コロナウイルス感染者の治療にあたってきた。歴史に残るパンデミックは、医学部医学科(以下、医学部)を目指す受験生たちにどのような影響を与えたのか。駿台予備学校の医学部受験専門校である市谷校舎の教務マネージャー宮辺正大氏と受験データとともに、大学入学共通テスト(以下、共通テスト)元年となった2021年度の医学部入試を振り返る。第3回は、2021年度の国公立大医学部入試を総括する。

難易度上昇を生んだ志願倍率の「隔年現象」

これまでは国立大全体の2021年度大学受験の動向や、根強い「医学部人気」の背景について触れてきたが、今回は50校(防衛医科大学校を除く)の国公立大の医学部入試に絞って話を進めたい。

 

医学部入試の特徴にいわゆる「隔年現象」がある。

 

ある年に<志願者数が減り>志願倍率が低くなった大学は、その翌年は「入りやすくなった」と捉えられ志願者数が増加する。そうなると受験生の期待とは裏腹に志願倍率は上昇してしまう。<志願者数が増えた>場合も同様で、志願倍率が上昇して難しくなったと考えられ、翌年はその反動で受験生が敬遠し志願倍率が下がるのだ。

 

このように1年おきに志願者数の増減を繰り返すため、思わぬ難易ランクの変動が生まれる。これは、“安定的高収入志向”を背景に国公立大医学部の難易度が上がった結果、大学間の難易度が縮まり、1点差で泣くか笑うかの激しいつばぜり合いがくり広げられていることによる。

 

顕著な例が2021年度の福島県立医科大学にみられる。2020年度の志願者が前年比で59%と激減したために、2021年度は「狙い目」だと思われ、志願者が集中。その結果、志願者数は前年比159%と志願者たちの思惑とは裏腹に大幅に増加することになってしまった(表1)。

 

※駿台予備学校調べ。
【表1】「北海道・東北 志願状況2ケ年比較」<前期>」 ※駿台予備学校調べ。


募集人員55人のところに、前期試験で最も多い531人の志願者が集まった愛媛大学も「少しでも入りやすいところを見つけ出して出願したい」という受験生心理が働いたようだ。

これまで同大学は前期と後期の両方で募集していたが、2021年度より後期募集を廃止。後期で募集していた25人を前期15人、総合型選抜に10人に振り分けた。前期の募集人員は40人から55人に増え「入りやすくなった」と考える受験生が集まり、結果的に志願倍率は昨年の7.7倍から9.7倍にアップし、狭き門となってしまった。

 

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