「コロナ解雇」が忍び寄る日本において、終身雇用への盲信はリスクといえます。大手新聞社社員の実例を通じて、今自分が働いている会社・業界を冷静に見極める必要性について見ていきましょう。また、本文の最後には3枚のワークがありますので、是非とも活用してみてください。※本連載は、黒田真行氏の著書『35歳からの後悔しない転職ノート』を一部抜粋・再編集したものです。
「優秀な人が集まる会社」と「そうでない会社」の圧倒的な差 (※写真はイメージです/PIXTA)

支店の縮小、人員削減…未来が危うい業界は?

これは新聞社に勤める方に限らないと筆者は感じています。それこそメガバンクに勤めておられる方、メーカーに勤めておられる方、デパート勤務の方のなかにも、この方と似た状況の方がたくさんおられるのではないかと思います。

 

支店がどんどん縮小し、営業要員の数が以前ほど必要なくなっている銀行で働くことが、果たしてどんな未来につながっているか。次々に新興国から競争相手が現れるメーカーはどうか。人口が減少し、新型コロナウイルスの影響で訪日外国人旅行客も減った今、売上が下がり続けているデパートはどうか。

 

勤めている会社の売上はどのように推移しているか。その中身はどのようなものか。利益水準はどうか。シビアに見極める必要があります。また、企業の未来がどう評価されているのか、端的に表しているのは、株式市場です。

 

株式時価総額がどのような動きを見ているかという観点でも、チェックしておいたほうがいいでしょう。

業界の地盤沈下のリスクはすでに顕在化している

リスクという言葉がよく使われますが、リスクというのは本来、予測できない危機を意味しています。「見えない、わからない」ということがポイントです。

 

したがってリスクを取る、というのは、見えないことに踏み出すということです。しかし、業界の地盤沈下はリスクではありません。それはすでに予測できていることだからです。不確定なものではなく、すでに顕在化している危機なのです。

 

ここの認識がずれると後悔する事態を招くことになりかねません。転職をするとき、付加価値の高いスキルを持つ人は、採用する企業から高い評価を得て、それに連動して収入も高くなります。選択肢としての転職機会も多いことは想像いただけると思います。

 

逆に、付加価値が低いスキルしか持っていないと、評価を受けられず、収入も低くなり、転職の選択肢も減少します。

 

これは実は会社も同じです。高い付加価値を持つ会社と、そうでない会社があるのです。

 

前者は社会からも高く評価され、給与水準も高く、社員のポテンシャルも高い。後者は、この逆になります。すると必然的に、付加価値の高い会社に、付加価値が高いスキルを持つ人が集まることになります。そして、そうでない会社は、付加価値が高い人を採用しづらくなります。

 

優秀な人が集まる会社と、集まらない会社、それぞれの未来がどうなるかは皆さんご想像の通りです。ましてや今は、インターネット時代。情報の非対称性がどんどん高まっています。リクルーティング広告で、いくら自社のいい面だけを並べ立てたとしても、口コミサイトに行けば、すぐに実態はバレてしまう。本当のことが、オープンにどんどん知られていく世の中になっているのです。

 

では、あなたが勤めている会社の未来は、いったいどんな予想図が描けるのでしょうか?

 

[図表1]会社の未来を見る ざっくりで構わないので会社の5年分の 売上高・営業利益を書き出してみてください。
[図表1]会社の未来を見る
ざっくりで構わないので会社の5年分の売上高・営業利益を書き出してみてください。

 

[図表2]会社や業界をめぐる3大ニュースは どのようなものでしたか?
[図表2]会社や業界をめぐる3大ニュースはどのようなものでしたか?

 

[図表3]例のように空欄を埋めて 自分の未来を考えてみましょう。
[図表3]例のように空欄を埋めて自分の未来を考えてみましょう。

 

 

黒田 真行

ルーセントドアーズ株式会社

代表取締役