「コロナ解雇」が忍び寄る日本において、終身雇用への盲信はリスクであり、「転職」は危機回避のためのひとつの選択肢です。大手転職サイトの元編集長で、これまで1万人を超える転職者・経営者・人事責任者への取材を経験した黒田真行氏が、転職を成功に導く「自己分析」の方法を紹介します。※本連載は、黒田真行氏の著書『35歳からの後悔しない転職ノート』を一部抜粋・再編集したものです。
転職を成功に導く「自己分析」の方法…大手転職サイト元編集長が伝授 (※写真はイメージです/PIXTA)

人生をエピソードで振り返ったことはありますか?

これからどう生きていくのか、人生の主導権を自分で取り返すために何が武器になるのか、そのヒントを探ります。これは、転職支援の際に、私自身が実際に求職者に行なっていることでもあります。

 

最初のワークは、「人生をエピソードで振り返る」です。

 

誰でも人生で、忘れられない、いい思い出があるはずです。得意だったこと、褒められたこと、最高の瞬間だと思えたこと、成功したこと…。それを思い出してください。自分についての気づきを得るためのワーク、自分に刺激を与え、筋肉を緩めるための鍼灸のようなワークです[図表1]。

 

[図表1]モチベーショングラフ
[図表1]モチベーショングラフ

 

日本人は謙虚ですから、なかなか自分の「いい話」を口にする機会がありません。だから、あえて思い出してもらうことに意味があります。心のなかに潜んでいる自分の自信をぜひ取り戻してほしいのです。

 

子どもの頃の思い出でも構いません。小学校のとき、どうだったか。中学、高校ではどうだったか。大学生のときはどうだったか。

 

ガッツポーズを取った瞬間は、どんなときでしたか、という聞き方を、私たちはよくします。これは自分でも「してやったりだな」と思ったとき。我ながらこれはすごいなと思ったとき。もし、インタビューを受けたなら、きっと話しているだろうな、という話。社会人になってからなら、この仕事をやっていて、本当に良かったな、と思った瞬間はどんなときだったか。

 

私自身は小学校のとき、絵を描くことが得意でした。もともと文章を書くことが好きで新聞記者になりたいと思っていましたが、絵を褒められたことはよく覚えています。

 

漫画も描いてみたかった。そんな楽しい思い出が、思わぬところで役に立った経験を持っています。30歳くらいのとき、メンタル的にかなり追い詰められたことがありました。ところが、絵を描いていた小学校時代のことを思い出し、抜け出すことができた経験があるのです。自分にも得意なことがあったんだ、と。

 

自己信頼を覚醒させることで、自分の存在価値を認めることができます。

 

他人から承認されたり、評価されたり、必要とされたり、期待されたりすることは、大きなエネルギーになる。

 

あなたがいてくれて良かった、という必要とされる瞬間。そう感じることができた思い出。それは、自分にとっての大きな武器になるのです。