少子高齢化の影響などを背景に転職者の平均年齢はあがっているものの、35歳を超えると転職の難易度は一気に上がります。一方、これまでに得た知識や経験の活かし方次第では、年齢に関係なく企業から求められる人材となることも可能です。35歳を超えて転職に成功した3人の実例から、年齢を重ねても転職が上手くいく人の共通点を見ていきましょう。※本連載は、黒田真行氏の著書『35歳からの後悔しない転職ノート』を一部抜粋・再編集したものです。
35歳を超えても「転職が上手くいく」人の共通点【3人の転職事例】 (※写真はイメージです/PIXTA)

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ミドル世代の転職は「戦略」と「行動」が必要不可欠

役職定年やM&A、業績不振などを起点に、企業側が戦略的な人材の代謝を進めるために、これまで組織に貢献してきた人が、突然転職市場に出ることになった場合、この構造の影響で多数のミスマッチが生まれています。

 

特に、正社員に限定すると、「D(組織貢献型の職種:法人向け営業など)からB(組織成果を求められる職種:経営者など)に移動したい」「Dのままでキャリアを磨きたい」という希望を持たれる方が多いのですが、極めて高い要件ハードルのBと供給過剰なDでは、その希望を受け入れられる余地は多くありません。[図表1]

 

[図表1]転職における4分類

 

結果的に、希望の有無にかかわらず、供給過多で需要の絶対数の多いC(定期的なタスクを処理する職種:販売・接客、プログラマーなど)への移動を促される構造になっています。それでもBやDの領域を志向する場合は、高い競争率を突破する戦略と行動が必要になります。

 

これまでやってきたキャリアを活かすには、会社を超えても通用する競争優位なスキル水準を獲得するために、これまでの2倍、3倍の努力が必要になる、というのが実情なのです。

 

では、戦略と行動をどう活かすか。3つの例をご紹介しておきましょう。

 

1.キャリアに対する考えの転換

1つは、これまでのご自身の経験を「資産」ではなく、「負債」ととらえて、過去のキャリアを活かすのではなく「超える」という考え方をすることです。

 

大手情報開発会社に営業職として勤務していたDさん(41歳)は、初めての転職活動で面接に行った会社で、これまでの会社で評価されてきた経験がまったく評価されないことに気づき、驚愕しました。

 

しかし、ゼロリセットでやり直すのは時間がかかりすぎると考え、経験値をバラバラに分解。使えるものと捨てるものに分別し、「使えるキャリア資産だけをベースにしながら、いかに自分の過去を超えられるかにチャレンジしよう」と考えました。現在は、通信系のベンチャー企業で社長室長(執行役員)として活躍されています。