管理組合の「総会議事録」で欠陥を確認できる
絶対に「ババ」を引かないためには築10年ちょっとで、工事精度の高さがはっきりと証明された中古マンションを選ぶとよい。そうすれば、その後20年、30年、その安定した品質のなかで暮らすことができる。
しかし、築10年ちょっとの中古マンションを選ぶとき、その物件に何か不具合が起こっているかどうかをどうやって確認するのか。
そこにもきちんとしたノウハウがある。それは、そのマンションの管理組合における過去数年分の「総会議事録」をチェックすることだ。
管理組合は1年に1回以上、総会を開いている。そこで前年度の決算と次年度の予算、その他もろもろの問題についての対応手段を議案として提出している。そして、総会で話し合った末に決議をとる。
管理組合では、その総会の全内容を「総会議事録」にまとめて、全区分所有者に配布もしくは配信しているはずだ。ただ実作業は、ほとんど管理会社がおこなっている。当然、総会議事録の管理もしている。
したがって、中古マンションの購入を検討する場合は、仲介業者をとおして、そのマンションの管理会社から過去数年分の「総会議事録」を取り寄せてもらう。首都圏以東のマンションなら、東日本大震災が起こった2011年までさかのぼって取り寄せてもらったほうがいいだろう。
たいていの場合、電話やメールで仲介業者に頼めば、彼らが管理会社に手配して用意してくれるはずだ。ただし、1件につき数千円の手数料をとられる場合がある。
何らかの理由で総会議事録を事前にチェックできないようなら、そのマンションは検討リストからはずしたほうがいい。外部に見せたくない何らかの事情があるのか、あるいはそんなこともスムーズにできないほど管理業務が滞っているかのどちらかの可能性が高い。
首都圏以東の物件は2011~12年の総会議事録を要確認
総会議事録には、そのマンションが抱える重要な問題がほとんど記載されている。「雨漏りの修理」とか「傾斜対応の補強工事」などという議案があれば、そのマンションは避けるべきだろう。
また、首都圏以東のマンションの場合は、2011年と2012年の総会議事録をとくに入念にチェックすべきだ。
そこにはきっと、あの東日本大震災でどのような被害を受けたのか、ということが詳しく記載されているはずだ。被害を受けた場所や被害の状況も、議事録を入念にチェックすることで見えてくる。
仮に、大きな被害を受けていないようなら、そのマンションはかなり頑丈につくられているということがわかる。購入に前向きになれる条件だ。
築1年なのに補修費が1億数千万円もかかったようなマンションは、工事の精度がかなり怪しいと推測できる。そういうマンションは避けたほうがいいだろう。
住戸内の乾式壁がずれた場合も、総会議事録には記されているはずだ。乾式壁とはいえ、住戸を隔てるものは戸境壁なので共用部分。その補修は管理組合の修繕積立金で賄われるものである。当然、その費用の支出は予算計上されているはずだ。
それぞれの被害に対して管理組合は、どのような対応をしたのか。また補修のための費用がいくらかかったのか、ということも議事録から読みとれる。
必要な支出に対して執拗な反対をしている区分所有者がいる場合、入居後の人間関係のトラブルを警戒すべきだ。その他、どういう議論がおこなわれたのかで、その管理組合の雰囲気などを読みとれるケースもある。