(※画像はイメージです/PIXTA)

日ごろから災害時に備えていても、いざというときに万全の行動がとれるとは限りません。通帳や印鑑が持ち出せなかった場合、あるいは当面の生活資金がない場合、どんな対処法があるのでしょうか。金融機関の手続きや公的支援の受け方など、具体的な方法を見ていきます。※本記事は、『自然災害に備える!火災・地震保険とお金の本』(自由国民社)より抜粋・再編集したものです。

災害時の「公的支援制度」を把握しておこう

大きな災害については頻度が少ないため、その時に利用できる公的な支援についてほとんどの人が知らずにいたのが現状です。東日本大震災によって、それら公的支援制度が注目されました。保険などを使ったリスク対策だけでなく、どのような公的支援制度があるかを把握しておくことも大切です。

 

公的支援制度には大きく分けて、「経済・生活面の支援」「住まい確保・再建のための支援」「中小企業・自営業者への支援」「安全な地域づくりへの支援」があります。支援の種類(方法)は、実際に現金を受け取る「給付」、無利子あるいは低利でお金を借りることができる「貸付」「融資」、住宅の応急修理や公営住宅への入居、葬儀の実施などを実際に受ける「現物支給」、税金や授業料の「軽減」「免除」、納税の「猶予」や税務申告の「延長」などがあります。

 

申請窓口は概ね市区町村ですが、その支援制度により健康保険組合、住宅金融支援機構、社会福祉協議会など、窓口が異なっています。制度によっては自治体独自の実施内容もありますので確認してみてください。

 

■亡くなった時、ケガをした時の生活支援:災害弔慰金、災害障害見舞金

 

災害により死亡した人の遺族に対して、災害弔慰金が支払われる制度です。また災害により身体に著しい障害が出た場合には、災害障害見舞金が支給されます。災害時の死亡保障や障害保障のプラスαとして考えることができる制度です。

 

■当面の生活費を支援:災害援護資金、雇用保険の失業給付、未払賃金立替払制度

 

「災害援護資金」は、災害によりケガをした場合や住居や家財に損害を受けた場合に、生活再建に必要な資金を借りることができる制度です(所得制限あり)。所定の据置期間中(3年もしくは5年)は、無利子で借りることができます。また、休職を余儀なくされた、勤め先が倒産してしまった場合は雇用保険の失業給付を利用することができます。賃金が支払われないまま退職しなければならなかった人は、労働者健康安全機構が未払金の一部を立て替える、「未払賃金立替払制度」を利用することができます。

 

■生活再建支援:被災者生活再建支援制度

 

災害により住宅が全壊するなど、生活基盤に著しい被害を受けた世帯に対して支援金を給付する制度です。給付金ですので、災害時の保険として考えることができる制度です。

 

この他にも多くの制度がありますが、利用できる基準が定められています。制度の詳細については災害が起こったあとではなく、市町村窓口で確認できることは事前に整理しておくことをお勧めします。

 

(R1.11.1現在)
[図表2]被災者支援に関する各種制度の概要 (R1.11.1現在)

公的支援を受けるには「り災証明書」が必要

災害時の公的支援制度や保険金の請求、住宅ローン関係の手続きなど、災害による各種支援を受けるには、り災証明書は欠かせません。り災証明書の発行は、各地方自治体で行っています。申請書(自治体により書式は異なる)と被害状況がわかる写真を添えて提出します。写真は、「建物の全景」「建物の壊れた箇所」、「建物の傾き」など、被害状況をはっきり確認できる写真を複数枚用意することが大切です。

 

写真が難しい場合は、被害程度がわかる工事見積もりでも受け付けてくれる場合があります。提出後、調査員が建物の被害認定調査をした後、り災証明書が発行されます。災害時のことですので、写真の有無や申請の際に必要な本人確認書類については適宜対応がされますので窓口に確認してみましょう。

 

[図表3]り災届出証明書(ある市の例)

 

 

石川 英彦

金融デザイン株式会社 代表取締役

高田 晶子

金融デザイン株式会社 取締役

三上 隆太郎
株式会社MKM代表取締役

 

 

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自然災害に備える!火災・地震保険とお金の本

自然災害に備える!火災・地震保険とお金の本

石川 英彦,高田 晶子,三上 隆太郎

自由国民社

災害時に身を守るのは「お金」です。 本書は、「お金のプロ」と「建物のプロ」が、火災・地震保険の正しい情報と、経済的リスクへの対策を紹介しています。 1章では、Q&A形式で火災・地震保険の仕組みや手続き、保険金支…

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