「70歳定年」に不安を感じる現役世代は95%超
昨年3月に改正された高年齢者雇用安定法、通称「70歳就業確保法」が、今年4月1日から施行されますが、法案成立後に、一般社団法人定年後研究所(池口武志所長)が、定年制度のある組織に在籍する40歳〜64歳男女516人に、「『70歳定年』に関する調査」を実施しました。
その結果は、「歓迎する」が約4割に対し、「歓迎できない」「とまどい・困惑を感じる」を合わせたネガティブな受け止め方が約6割となり、長く働き続けることに必ずしもプラスの意識を持っていないことが明らかになりました。
なぜ、過半数の会社員が「そんなに長く働きたくない」と感じてしまうのでしょうか?
そのヒントは、次の2つのアンケート質問に対する答えにあります。
まるで会社員の心の内が浮かび上がってくるようです。
まず、「70歳定年制が導入されたら……」という質問に対しては、45.7%が65歳以降も「今の会社で働き続ける」ことを選択しています。
さらに、「70歳まで今の会社で働くことに、『不安あり』か『不安なし』か」について問うと、何と96.1%が「不安あり」と答えているのです。
要するに、今の会社での仕事には満足していないが、他に選択肢がないからやむを得ず働いていることが分かります。
とくに、中高年になってから(55歳の役職定年後や60歳の定年再雇用後)の働き方について、何らかの不満があることが推測されます。
そして同調査では、70歳まで今の会社で働くために「会社に求める支援策」を聞いています。
その上位3項目は以下の通り。
1.待遇改善
2.勤務条件の軽減
3.ふさわしいポスト・職務
つまり、「収入が低すぎる」「勤務時間や勤務日数をもっと柔軟に減らしたい」「もっとやりがいのある仕事がしたい」という不満なのです。
平成の30年間でほとんどGDPが増えず、少子高齢化が進んで個人消費が落ち込む日本では企業業績が厳しく、さらにコロナショックで業績悪化が加速している現状を考えると、「雇用」という形で、定年後の中高年社員に対して、待遇改善をしながら勤務条件の改善を提示するなどという可能性はほとんどないでしょう。
だからほぼ全員が、70歳まで今の会社で働き続けることに「不安がある」のです。
これまで通り、年金を65歳から受給して、平均寿命が80歳という社会であれば、年金生活15年を余生と考えて悠々自適で過ごすことも可能でした。
しかし、今現役の会社員にとってそれはかつての夢物語です。
日本人の平均寿命は女性では90歳に近づいていますし、男性も毎年少しずつ延びて、ともに世界トップクラスです。
医学の進歩や健康増進のための情報の普及でその傾向はしばらく続き、人生90年は当然、いずれ人生100年時代になると筆者は思います。
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