「定年ひとり起業」と一般的な起業はどこが違うのか?
日本の企業は現在、60歳定年としている企業が大半であるため、その後に定年再雇用制度があって65歳まで働く会社員が多いものの、大半の会社員は60歳という年齢を「大きなキャリアの節目」と考えています。
60歳を境にして、雇用形態、年収や権限などの就労条件、そして働く意識や働き方が劇的に変わるからです。
筆者が本記事で述べる「定年ひとり起業」とは、会社に所属し続けた場合に大きな条件変化が訪れる60歳を見越して、定年前の50代、60歳定年時、定年再雇用期間中または再雇用終了後に、会社員を卒業して独立起業する働き方のことです。
「定年ひとり起業」は、一般的な「起業」と呼ばれる形態と異なる特徴として以下の5点が挙げられます。
1.会社員(または公務員)として働いた経験を長く持った上で50代または60代というタイミングで独立起業する
2.個人事業主として開業するか、ファミリー・カンパニーを設立して独立し、原則として自分ひとりで事業を行う
3.自宅を事務所にするなど初期投資を最小限に抑え、多額の仕入や在庫保有を行わず、借金もしない、家族以外の従業員を雇わないという低リスクの事業形態とする
4.厚生年金を確保した上で、年金プラスアルファの収入(月5〜10万円程度)を目指す規模の事業からスタートし、好きなことを仕事にしてストレスなく働く
5.会社員時代の経験・知識・スキル・人脈をフル活用し、足りないリソースは外部に業務委託する形で規模を拡大せずに「長く働くこと」を最優先に事業を運営する
以上の5点を筆者は「定年ひとり起業の5原則」と呼んでいます。
そしてこの5原則をすべて満たす起業を本記事では「定年ひとり起業」と定義することにします。
この5原則はそれぞれ深い意味を持っていて、どれが欠けても起業のリスクが高くなり、「長く働くこと」が難しくなってしまうのです。
「定年ひとり起業5原則」の深い意味
なぜ、この「定年ひとり起業5原則」が大切なのでしょうか?
結論から申し上げると、会社員として長い間雇われる働き方をしてきた中高年が、最もリスクを少なくしながらその優位性を生かして、楽しく不安のない後半の人生を送ることができる働き方が実現するからです。
では1つずつ見ていきましょう。
1番目の原則である「50代または60代のタイミング」ですが、このタイミングだと会社の中で自分の将来性がほぼ見えてきます。
ごくわずかな人数ですが、大企業のトップになったり経営幹部になったりする見込みの人は出世の街道に邁進した方がいいかも知れません(但し、大企業での出世は実力だけでなく、コントロールできない運などの要素も大きいので見込みが外れることは珍しくありませんが)。
とくに大企業に勤務している人は50代になったら早く発想の転換をして後半の人生の戦略を練った方がいいというのが筆者の考え方です。
だからと言って現在の会社の仕事で手を抜くということではなく、むしろ逆です。
たとえ会社を離れても個人の力で会社に貢献できるようなスキルを磨いたり、会社にとって必要な業務やリソースを考え抜いたりすることを真剣に意識的に行うのです。そうすると、会社にぶら下がって何となく定年までを過ごすというマインドを一新できます。
学び直しなど自己啓発が必要なことに気づくかもしれません。
また会社以外の人脈を開拓する行動を始めるかもしれません。
いずれにしても、50代になり定年が視野に入ってきた時に、定年までの時間が緊張感を持った輝く時間になることを経験者である筆者が保障します。
2番目の原則である「ひとりで事業を行う」こともとても大切です。
会社員が独立する場合は誰でも不安で、しかも孤独なので共同事業として何人かのパートナーと組んで共同で会社を設立することがよくあります。
一緒にやれば何となく安心できるのです。
でも筆者はお勧めしません。もちろんうまくいくケースもありますが、圧倒的に揉めるケースの方が多い。
経営責任は一人で担わなければ事業はうまくいかないというのが筆者のこれまでの銀行員や経営コンサルタントとしての経験から得た結論です。
事業がうまく進まなければ責任のなすり合いになりますし、うまく進めば進んだで主導権争いや分け前争いになります。
せっかく定年のタイミングでストレスのない楽しい働き方にシフトするわけなので、「定年ひとり起業」では、事業は自分ひとりで責任を持つ形で行うべきでしょう。
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