(※画像はイメージです/PIXTA)

親の介護のために子どもが人生を犠牲にしては、誰も幸せになれません。使える制度を活用して、全員の負担を軽減する方法を探ります。※本記事は、老親介護の実情や対策について、様々なメディアで情報を発信する太田差惠子氏の著書『親の介護で自滅しない選択』(日経ビジネス人文庫)より一部を抜粋・再編集したものです。

「ショートステイ」を定期的に活用するメリット

自滅する人

→緊急時のみ利用する


自分の人生を大事にできる人

→定期的に利用する

 

●緊急時だけでなく「定期的」な利用も

 

介護保険のサービスの1つに「ショートステイ(短期入所生活介護/短期入所療養介護)」があります。1泊から1週間ほどの期間、施設で宿泊して介護サービスを受けるものです。介護を行う家族が、冠婚葬祭や出張などで家を空ける際に利用するもの、と理解している人が多いのですが……。どうしようもない時の受け皿と考えるのではなく、「定期的」に利用している人も。例えば、1ヵ月のうち、1週間は「ショートステイ」を利用、というケアプランを立ててもらいます。

 

同居や近居で介護をするケースで、ウィークデイは仕事、そして帰宅後に介護、週末も介護という生活をしていると、疲労が蓄積します。自分の趣味や友人との会食にも行けなくなります。そんな生活を延々と続けるのでしょうか。

 

それに、緊急時に利用しようと考えていても、ベッドの空きがなくて、思う日に利用できないケースも出てきます。定期的に利用している高齢者で埋まってしまっていることがあるからです。

 

●介護者だって倒れる

 

しかし、親の多くは、ショートステイの利用を嫌がります。「なぜ、施設になんか泊まらなければならないのだ」と抵抗。家に居たい気持ちも察せられ、子供としても強硬には出にくいものです。

 

ある女性は在宅で母親の介護をしていました。女性はシングルです。仕事に出掛けている時間以外はほとんど母親の介護。休日も介護。あるとき、そんな彼女がインフルエンザで高熱を出しました。会社は休みましたが、家に居ても母親がいるので休まりません。急にといっても、引き受けてくれる施設はありませんでした。その件以降、月に1週間は母親にショートステイを利用してもらうようにしたといいます。慣れた施設であれば、先方も母親の状況が分かり、緊急時に対応してもらえる可能性が高くなるからです。当初、母親は反発しましたが、母親の主治医から説得してもらい、最終的に頷きました。

 

両親が2人暮らしで、一方がもう一方の介護をしているケースでも同じことがいえます。緊急時にショートステイを利用できるよう、普段から使っていると安心です。ショートステイは、最長30日の宿泊ができるので、大変なことが生じた際には当面の猶予期間となりえます。

 

 

太田 差惠子

介護・暮らしジャーナリスト

 

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親の介護で自滅しない選択

親の介護で自滅しない選択

太田 差惠子

日経ビジネス人文庫

「親に認知症の疑いがみられたら ? 」 「医療費・介護費がふくれあがって限界に…」 「遠距離の親が入院、どうみればいいか」 「同居を頼まれたらどうする ? 」 「何もしてくれないきょうだいに、どういう態度をとればいい…

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