(※画像はイメージです/PIXTA)

親の介護のために子どもが人生を犠牲にしては、誰も幸せになれません。使える制度を活用して、全員の負担を軽減する方法を探ります。※本記事は、老親介護の実情や対策について、様々なメディアで情報を発信する太田差惠子氏の著書『親の介護で自滅しない選択』(日経ビジネス人文庫)より一部を抜粋・再編集したものです。

介護サービスの活用、費用を理由にあきらめないで

自滅する人

→仕事を辞めて自分で介護


自分の人生を大事にできる人

→サービスは減らさない

 

●ガマンや忍耐はないか?

 

介護にかかわるさまざまなサービスを利用するほど、お金がかかることになります。

 

「どんどんお金がかかるから、サービスの利用を控えている」という人がいます。確かにサービスの利用を少なくすれば、出費は少なくて済むでしょう。介護保険のサービスでも、1〜3割は自己負担です。自治体が行うサービスも、たいていは無料ではなくお金がかかります。

 

それが高じていき、「サービスを使うのはもったいない」という発想になっていく人がいます。しばしば聞くのは、「子供の手が離れたので、パートをしようと思っていたが、それはやめて介護に専念」という選択。親や夫が、娘や妻に強いているケースもあるようです。

 

お金を生む道を閉ざす代わりに、出ていく金額を減らす……、ある意味、合理的な方法なのかもしれませんが、そこに誰かの「我慢」や「忍耐」という意識が働いているとしたら、大きなストレスを抱えることになります。

 

●「家族の労力=0円」ではない

 

働きたいのであれば、働く。親のお金が足りないのであれば、さまざまな軽減制度について調べる。場合によっては、稼ぎの一部をまわしてでも、サービスを利用するのが建設的な方法ではないでしょうか。

 

親が「お金がない」と言う際にも、実はしっかり蓄えはあるのだけれど「出したくない」とか、「子供への甘え」から言っている場合もあります。現状、親のお金がどれくらいあるか分からないから、子も不安になり、お金を出すくらいならと、労力を提供するケースもみられます。しかし、当然ながら、家族の労力は0円というわけではありません。その分、外で働けば、お金を生みます。年間収入100万円のパートでも、10年働くと1000万円になります。将来の自分の老後資金となるかもしれません。

 

自分の人生を大事にできる人は、仕事を辞めて介護に専念することは、できるだけ避けます。

 

それに、離職して介護に専念すると、逃げ場がなくなり、社会から取り残された感覚に襲われることがあります。結果、経済的な部分だけでなく、精神的にも肉体的にも負担が高くなるという調査結果もあります。

 

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親の介護で自滅しない選択

親の介護で自滅しない選択

太田 差惠子

日経ビジネス人文庫

「親に認知症の疑いがみられたら ? 」 「医療費・介護費がふくれあがって限界に…」 「遠距離の親が入院、どうみればいいか」 「同居を頼まれたらどうする ? 」 「何もしてくれないきょうだいに、どういう態度をとればいい…

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