波・雪氷・金属も!?…身近な自然現象や素材を活用した発電 (※画像はイメージです/PIXTA)

現代社会は電気エネルギーで成り立っています。しかし火力発電や原子力発電といった、大規模な施設で生み出される電力のみに頼っていては、資源の枯渇は避けられません。身の回りにある「小さなエネルギー」に目を向け、活用することで持続可能な社会が実現するのです。※本記事は、齋藤勝裕氏の著書『脱炭素時代を生き抜くための「エネルギー」入門』(実務教育出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

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「波力発電」と「風力発電」の、意外な共通点

◆波力、雪氷熱、ゼーベック◆

波のエネルギーを活用する波力発電、雪や氷が解けるエネルギーを使う雪氷熱エネルギー、素子に熱を加えて電気を生み出すゼーベック効果……。思わぬところに隠れているエネルギーを紹介する。

 

●風力発電に似た波力発電とは

 

「春の海 終日(ひねもす)のたり のたりかな」(与謝蕪村)の通り、海面は休むことなく上下動を繰り返しています。1リットルのぺットボトルを持って手を上下運動したら、1㎏のダンベル運動と同じことです。1回の波で押しあげられる海水の量はペットボトルの比ではありません。しかも、それを繰り返すのですから、運動の総エネルギーがとんでもない量になることはいうまでもありません。

 

図表1は波浪発電の模式図です。原理は風力発電のようなものです。すなわち、適当な円筒内で波が上下動すれば、それによって円筒内の空気が円筒を出入りし、「風」が起こることになります。この風を利用して発電機のタービンを回すのです。

 

[図表1]波浪発電の二つのしくみ

 

ただし、「発電量」は小さいため、使い道としては海上でのブイの電力供給程度ですが、それにしても可動部分があって構造が複雑なため、故障は避けられません。そのため、可動部分がなく、故障可能性の少ない太陽電池の陰に隠れているのですが、波浪の総エネルギーは莫大です。何とか有効な使い道はないものでしょうか。

 

●冷やすための雪氷熱エネルギー

 

雪氷熱エネルギーは熱エネルギーといいながら、加えるエネルギー(加熱するエネルギー)ではなく、取り去るエネルギー(冷やすエネルギー)です。雪氷熱エネルギーは冷やすエネルギーを雪や氷から得ようというものです。冬季に降った雪や、冷たい外気で凍らせた氷を貯冷庫などに貯蔵し、気温が上がり冷気が必要となった春から夏にかけて利用します。清少納言が夏の贅沢(ぜいたく)品として金属の器に氷を盛り、甘葛(あまずら)の煎じ汁をかけたものをあげていますが、これも雪氷熱エネルギーの利用ということになるでしょう。

 

雪を用いる場合には、断熱材でつくった貯雪庫に重機などを使用して搬入します。氷を利用する場合は、アイスシェルターの中に水を入れた容器を置いて外気で凍らす方法と、池や沼の氷を利用する方法があります。雪や氷で冷気貯蔵する場合、一般にチルドと呼ばれている0~5℃の温度帯です。適度な湿度を保っているため農産物の長期保存に最適で、安定供給による付加価値を得ることができます。

 

冷房として使用する場合、使用動力は冷気を移動させるポンプだけなのでランニングコストは電気冷房に比較して約1/4程度ですみます。北海道や東北地方は気温的に、どの地域も雪氷熱エネルギーの導入が可能です。デメリットをメリットに変換できるこの再生可能エネルギーは、自然が寒冷地に贈ってくれたプレゼントいえるかもしれません。

 

●ペルティエ効果とゼーベック効果

 

半導体を用いると、熱と電気エネルギーを直接交換することができます。これは太陽電池が光エネルギーを電気エネルギーに直接変換し、LEDや有機ELが電気エネルギーを直接、光エネルギーに変換するのと同じことと見ることができます。

 

2種類の金属や半導体を接合した素子を、発明者の名前からペルティエ素子といいます。この素子に電流を流すと、片方の金属からもう片方へ熱が移動します。これをペルティエ効果といいます。つまり、この板状の半導体素子に直流電流を流すと、一方の面は吸熱して冷たくなり、反対面で発熱が起こります。電流の極性を逆転させると、その関係も反転します。

 

[図表2]ペルティエ効果のイメージ

 

これを利用すると、小型で振動がなく、しかも完全無音の冷蔵庫をつくることができます。自動車搭載用、ホテル仕様、あるいは医療用などの冷蔵庫として使われています。ただ、移動させる熱以上に素子自体の放熱量が大きいため、電力効率が悪いのが欠点です。また、吸熱側で吸収した熱と、消費電力分の熱で放熱側が発熱するため、ペルティエ素子自体の冷却が大変であるというのが、冷却手段として広く普及しない理由となっています。

 

ペルティエ素子のもう一つの能力は、素子に熱を加えると電力が生じることであり、これはゼーベック効果といわれ、腕時計の電力などとして利用されています。

 

[図表3]ペルティエ効果とゼーベック効果の違い

 

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名古屋工業大学 名誉教授
理学博士

1945年5月3日生まれ。1974年、東北大学大学院理学研究科博士課程修了。専門分野は有機化学、物理化学、光化学、超分子化学。

主な著書として、「絶対わかる化学シリーズ」全18冊(講談社)、「わかる化学シリーズ」全16冊(東京化学同人)、「わかる×わかった! 化学シリーズ」全14冊(オーム社)、『マンガでわかる有機化学』『毒の科学』『料理の科学』(以上、SBクリエイティブ)、『「発酵」のことが一冊でまるごとわかる』『「食品の科学』が一冊でまるごとわかる』(以上、ベレ出版)、『ぼくらは「化学」のおかげで生きている』(実務教育出版)などがある。

著者紹介

連載脱炭素時代を生き抜く!意外と知らない「エネルギー」の基礎知識

脱炭素時代を生き抜くための「エネルギー」入門

脱炭素時代を生き抜くための「エネルギー」入門

齋藤 勝裕

実務教育出版

「2050年までの『脱炭素社会』の実現」を基本理念とする改正地球温暖化対策推進法が成立し、いまや、エネルギー問題については誰もが当事者です。 「そもそも、エネルギーって何だろう」「どんなエネルギーがあるんだろう」…

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