求められる能力が薬局によって違う
――これから薬剤師を目指そうという人にフリーランスを勧めますか?
まずは勤務薬剤師として働いて、キャリアを積んでからのほうがいいですね。しばらく働いてみて、会社と自分のやりたいことが違う、ワークライフバランスを取りたい、もしくは起業したいなどの目標がある場合にフリーランスをお勧めします。
ただ、フリーランスも向き不向きがあります。
僕が以前働いていた薬局は、非常に忙しいところでとにかく数をこなさなければいけませんでした。1日で100人以上に投薬しなければいけない場合も。さほど大きくはない薬局なので、これはかなりの数です。そうなると、ひとりの患者さんにかけられる時間が短くなります。必要最低限のことを伝えて、次の患者さんに移らなければいけません。
逆に、患者さんひとりひとりに丁寧な対応が求められる薬局もあります。在宅で薬を届けに訪問した患者さんの家では、庭になっている柚子を取ってあげたら、数年ぶりに庭の柚子を食べたと喜んでもらったこともありました。
このように求められる能力が薬局によって違うので、臨機応変に対応できる人が向いていると思います。
――将来は会社経営を考えていますか?
いろんなオーナーと出会って経営のノウハウなどを学んでいるので、それを活かせればいいとは思います。
薬局によって雰囲気は大きく違うと思いますが、チェーン展開している薬局でも、店舗ごとにスタッフは異なるので、雰囲気が変わってきます。僕が開局するとしたら、趣味を持っているスタッフに集まって欲しいですね。仕事だけではなく、趣味を大事にしている人がいいです。そういう人が集まれば、自然と店の空気感も良くなるでしょう。
趣味を優先して、「休みを1週間取ります」と言っても、快く送り出せるようなチームにしたいです。その間は多少忙しくなっても、ほかのスタッフでカバーし合えるような環境にできたらいいですね。
齋藤氏は、いま住んでいる「勝どき」という地にもこだわりがあるよう。それは、自身に「食」という趣味があり、築地も近いので美味しいものがたくさん食べられるからだそうです。築地は観光地化しているため、勝どきのほうが値段も手ごろであるところが気に入っているのだとか。
フリーランス薬剤師として働くのには、趣味や経歴などを含めた「個性」がポイントのひとつとなるようです。ならば、趣味に割く時間は、仕事にも生活にもプラスの要素となるでしょう。そこで、コミュニケーション能力を発揮して、自分を上手にアピールできる人であれば、フリーランス薬剤師として人生を切り開いていく、という選択を視野に入れてみてもいいかも知れません。