人工授精で精神が崩壊…女医は自らの「不妊治療」を中断した

いつまで続くのか分からず、「出口の見えないトンネルのなかにいるよう」とも言われる不妊治療。女医の山下真理子氏も、そんな不妊治療で子供を授かったひとりだという。どのような問題に直面し、どう向き合ってきたのか、医師の立場から語ってもらう本連載。第2回目は人工授精とそれに伴う苦悩について、生々しく当時の心境を吐露してくれた。

経膣エコー検査に慣れてゆく…

仕事は、好きな方。

 

どちらかというと、家でゆっくり過ごすより、出かけるのが好き。旅行が大好きで、その時の私は、思いっきり仕事をしては、2〜3ヶ月に一度は海外旅行に行くという生活を楽しんでいた。

 

何度も言うが、「子供がいらない」のではなくて、「あとでいい」と思っていたからだ。
そんな私が、不妊治療をすることになった(第1回目はこちら)

 

体外受精を勧められたが、まずは人工授精(AIH)を試すことに。

 

タイミング療法と同様に、生理終了後から、クリニックで超音波検査を受けて、卵胞の状態の観察を続ける。通常、「排卵日」は、「生理開始日から約2週間後」と言われているが、あくまで目安でしかない。

 

そのため、定期的に卵胞の状態を確認し、場合によっては排卵誘発剤なども併用しながら、卵胞が成熟していくのをエコーで確認する。

 

エコーは、「内診」と言って、膣の中にプローブを挿入して行う経膣エコー。初めは抵抗があった経膣エコー検査は、この頃にはもうすっかり慣れたものだった。

性生活のタイミングを他人に決められる

そして、排卵日前後に、夫に頼んで採取してもらった精液をクリニックに持参。精子濃度を上げるための洗浄を行い、膣の中に戻す。

 

……と、口で言うのは簡単だけれど、個人的には、人工授精はめちゃくちゃハードルが高かった、と言うのが正直な感想。

 

これは、妊活経験者にしかわからないことかもしれない。

 

そもそも、不妊治療は、パートナーの協力が必須。

 

文字で書いたら「そりゃあそうだろう」と思うかもしれないが、「夫婦の性生活」と言う、とっても繊細な問題が関わってくる…。

 

タイミング療法であれば、予測した排卵日の前後数日で「タイミング」を取る。つまり、その日に性行為を行う。

 

「気分が乗らない」「そう言う雰囲気にならない」などとは言っていられない。

 

ましてや排卵誘発剤の注射をした日は、費用も発生しているので、「絶対」(笑)。

 

人工授精の時には、「精液採取後2時間以内にクリニックに提出」という「ノルマ」があるため、「明日の朝●時にお願いします」と、採精カップを渡す。

 

早過ぎても遅過ぎてもダメ。

 

そして、「とれたて」の精液を、確実に時間内にクリニックに届けるというのも、重要な「任務」。

 

不妊治療のつらさは色々だが、射精や性生活のタイミングを、他人に決められることは、大きなストレスの一つだった。

 

そして、人工授精当日。

 

前日から、なんとなくお互い気を遣って少し早めに就寝し、早朝に「採精」。

 

クリニックに無事に時間内に精液を届けて、お腹の中に洗浄精液を戻すと、あとはホルモンの補充を行って、結果判定を「待つ」事になる。

 

人工授精後は、特に日常生活に制限はない。

 

家で悶々としながら待つのが辛くて、結果判定まで、ちょうど連休だったのもあり、旅行に出かけた。

 

旅行中も、黄体ホルモンの補充薬を飲みながら、ソワソワと待つことになり、多少気は紛れたものの、いまいち、120%楽しめない旅行になった。

 

結果は、「陰性」。

 

「次また頑張りましょう」と主治医には告げられた。

 

幾度かの人工授精が繰り返された。

 

私は疲れ果てていた。

京都府立医科大学を卒業後、医師に。医師だけでなくモデルやコラムニストとしても活躍。美容医療に従事しつつ、専門学校にて医療教育にも関わる。
不妊治療を経て、2021年第1子出産。子育てと医師との両立を試行錯誤する一方でビューティージャパン近江大会2021のファイナリストにも選出される。

著者紹介

連載女医の不妊治療体験

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