※画像はイメージです/PIXTA

相続争いは他人事ではありません。家族の仲が良くても、お金に困っていなかったとしても、相続するべき財産がほとんどなくても、「争族」は起きるもの。ここでは実際に起きた恐ろしいエピソードをご紹介します。※本記事は、一般社団法人相続終活専門協会の書籍 『プロが教える  相続でモメないための本』(アスコム)より一部を抜粋したものです。

良一さんと母は賃貸経営に失敗し遺産を溶かしていた

良一さんとお母さまは、手元の現金がなくなったことでアパートの修繕・維持費が支払えなくなり、当然の帰結として入居率が一気に低下。アパート経営もわずか数年で赤字を垂れ流す状態になってしまいました。入居者を集めるために家賃を下げたところ、さらに収益が悪化。結局、このアパートも手放すはめになっていたのです。

 

お父さまの現金は、3姉妹に「ハンコ代」として渡してしまったので、良一さんの手元にはもともと預金なんてほとんどありまん。

 

にもかかわらず、良一さんは仕事をリタイア後も、現役時代と同じ生活レベルを維持しようとして、遺産をすっかり使い果たしていたのでした。お母さまが亡くなった時点で、もはや「ハンコ代」を払えるだけのお金など残っていなかったのです。

 

3姉妹は、お父さまが亡くなったときに1000万円もの「ハンコ代」をもらっていましたから、お母さまが亡くなったときも当然、同じくらいの「ハンコ代」はもらえるだろうと期待していました。ところがその期待が裏切られたため、大いに腹を立てたのです。

 

徹夜で口論した後も、3姉妹の怒りは収まりません。彼女らは結託して良一さんに代償分割を求めました。

 

しかし、そもそも遺産なんて残っていないので、「代償」もへったくれもありません。良一さんとしても、無い袖は振れないのです。彼も結局、お母さまの「公正証書遺言」を水戸黄門の印籠(いんろう)のように振りかざし、「遺言に従うしかないだろ」の一点張り。

 

疲弊した良一さんが私の事務所を訪れたのは、この頃でした。良一さんは心労のためすっかりやつれ、「とにかく早く解決したい」と何度も私に懇願してきたのです。

 

■いったい何が問題だったのか

 

本来、遺言があれば、遺産分割協議書を相続人の間でまとめる必要がありません。法的効力のある遺言に従うしかないからです。そういう意味では、「ハンコを押す必要さえないので、ハンコ代も何もない」というのが良一さんの理屈ですが、「争族」は理屈で解決できないから問題なのです。

 

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江幡 吉昭

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