31歳女医が「自然妊娠の可能性は低い」と告げられ不妊治療を開始

いつまで続くのかわからず、「出口の見えないトンネルのなかにいるよう」とも言われる不妊治療。女医の山下真理子氏も、そんな不妊治療で子供を授かったひとりだという。どのような問題に直面し、どう向き合ってきたのか、医師の立場から語ってもらう。

「自然妊娠の可能性は極めて低い」と告げられ

避妊をやめてから半年ほど経ち、レディースクリニックで毎月エコーの検査をして、タイミングをとるべき日にちを教えてもらう「タイミング療法」を開始した。排卵日の前日に排卵誘発剤の注射をしてタイミングをとる。

 

それでも、妊娠することはなかった。

 

軽い気持ちで始めた「妊活」だったはずなのに、徐々に焦りが生まれてきた。

 

卵管造影検査や子宮筋腫の有無を調べるエコー検査、内膜症の検査もした。夫の精液検査もして、全て正常。

 

最初に「妊娠したい」と思ってから、1年弱が経っていた。

 

「不妊治療専門」のクリニックを受診し、「AMH(抗ミュラー管ホルモン)の数値を調べてみては」と言われたのが、その夏のことだった。

 

例年よりも暑い夏で、じっとりと汗をかいた背中には、効きすぎた冷房が寒いくらいだった。

 

AMHとは、発育過程にある卵胞から分泌されるホルモンのこと。成熟して、排卵することのできる卵の数を推測できることから「卵巣予備能」を測る検査として、不妊治療の検査に用いられる数値。

 

女性は、生まれつき200万個の原始卵胞を持って生まれてきて、生涯作り続けられる男性の精子と違って、新たに造成されることはないのが特徴。年齢に従って卵胞の数は減ることから、「AMHの値=卵巣年齢」と指標される。

 

AMHが低いということは、「妊娠可能期(排卵している時期)が終わりかけている」とも考えられるということになる。

 

血液検査で比較的簡単に調べられるAMH検査の結果、私は「AMH値が極端に低く、自然妊娠の可能性は極めて低い」と告げられた。

 

「まさか私が」

 

タイミング法による不妊治療を開始していたものの、「行為」そのものは今までと変わりないため、不妊治療としての実感は、ほぼ全くと言っていいほどなかった。

 

「妊活をしている」という意識はあったものの「不妊治療」とか「不妊症」は、私にとっては他人事でしかなく、突きつけられた現実を、自分のことだと認識するには、時間が必要だった。

本当の意味での“不妊治療”の始まり

なぜAMH値が低いのか、は、厳密にはわからない。

 

体質的遺伝的に低い(そもそもの原始卵胞の数が少なかった)ということも考えられるが、20代までの生活習慣や食事内容、栄養状態も、大きく影響しているとか。

 

そして、何よりもショックだったことは、「AMHの値を増やすことはできない」ということ。

 

前述の通り、卵胞の数は増えることはなく、排卵の回数は決まっている。

 

「もし、子供を考えるなら、今すぐに治療に取りかかる必要がある」

 

自然妊娠はできない。

 

「子供なんて、いつでも産める」、「子育ては、人生の最後でいい」

 

ずっとそう言っていた。

 

ずっと、それでいいと思っていた。

 

でも、現実はそうじゃなかった。

 

それが、本当の意味での、私の不妊治療の始まりだった……。
 

 

 

山下 真理子

 

京都府立医科大学を卒業後、医師に。医師だけでなくモデルやコラムニストとしても活躍。美容医療に従事しつつ、専門学校にて医療教育にも関わる。
不妊治療を経て、2021年第1子出産。子育てと医師との両立を試行錯誤する一方でビューティージャパン近江大会2021のファイナリストにも選出される。

著者紹介

連載女医の不妊治療体験

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