根性重視だけでは社会に出てから苦戦する
また、もちろん、中には根性で東大に合格する生徒も一定数はいます。「東大合格」という意味では、テクニックで合格した人も、根性で合格した人も同じです。
問題は、東大卒業後です。根性で東大に合格した人は、社会に出てから圧倒的に苦戦します。「使えない人」が多いからです。
それは当然といえば当然です。
たとえば、テクニック重視の人と根性重視の人が営業職についたとします。仕事がうまく行かなかったときに、テクニック重視の人は、もっと効率の良いやり方を模索します。セールストークのやり方、商品説明の仕方、アポイントの取り方などを変えれば、劇的に改善する可能性があります。
しかし、根性重視の人は、うまく行かないときにも、とにかく根性で乗り切ろうとします。単純に、100軒回っていたのを、1000軒に増やすことで成約件数を増やそうと試みます。
しかし、やり方が間違っているのに、いたずらに訪問件数を増やしたところで、成約が増える可能性は低いのが目に見えています。
つまり、根性で東大に合格できたとしても、遅かれ早かれ壁に突き当たることになるわけです。
私は、テクニックで東大に合格するのは全然悪いことではないし、むしろテクニック重視のほうが将来的にもうまく生きていける人間になれると考えています。
ダメだったときにやり方を変えるという発想を、子どもの頃から身につけておけば、社会に出てから何かうまく行かなかったときに、すぐにやり方を変えることができます。
同じやり方を何度も繰り返して苦しんだり、自分に才能がないと絶望したりするより、よほど生きやすいと思います。
和田 秀樹
和田秀樹こころと体のクリニック 院長