(※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「市川レポート」を転載したものです。

 

●日経平均について、2月高値以降の225銘柄の動きを検証し、30,000円台回復の条件を探る。

●225銘柄のうち、上昇したのは108銘柄で、総じてコロナ禍で影響を受けた銘柄の反発が目立つ。

●大台の回復には値がさの反発が必要だが、一段の景気回復と業績改善を期待できる材料待ちに。

日経平均について、2月高値以降の225銘柄の動きを検証し、30,000円台回復の条件を探る

日経平均株価は2月16日、終値ベースでの年初来高値となる30,467円75銭をつけました。しかしながら、その後は緩やかに水準を切り下げ、上値の重い展開が続いています。昨日は、28,366円95銭で取引を終了しましたが、これは年初来高値から6.9%下げた水準です。このように、日経平均株価は、30,000円の水準が遠くなっただけでなく、29,000円台の定着さえ難しくなっています。

 

そこで、今回のレポートでは、日経平均株価が年初来高値をつけた2月16日から7月7日までの期間について、日経平均株価を構成する225銘柄の動きを振り返ります。具体的には、同期間において、どのような銘柄や業種が上昇あるいは下落し、日経平均株価に影響を与えたかを検証します。それを踏まえた上で、今後、日経平均株価が30,000円台を回復するための条件を考えていきます。

225銘柄のうち、上昇したのは108銘柄で、総じてコロナ禍で影響を受けた銘柄の反発が目立つ

前述の通り、日経平均株価は2月16日から7月7日までの期間、6.9%下落しました。一方、日経平均株価を構成する225銘柄に目を向けると、同期間で上昇した銘柄は108銘柄、下落した銘柄は117銘柄となっており、決して大半の銘柄が下げている訳ではないことが分かります。なお、上昇した108銘柄の平均上昇率は13.3%、下落した117銘柄の平均下落率は10.2%でした。

 

上昇した108銘柄のうち、上昇率の大きい10銘柄は図表1の通りです。トップ3は海運業が占めていますが、景気の持ち直しに伴う輸送需要の増加に、コロナによる労働力不足が重なり、運賃が高騰したことなどが背景にあると思われます。また、108銘柄全体では、原油など資源価格の上昇や、「リオープン(経済活動の再開)」に対する期待の高まりなどから、コロナ禍で影響を受けた銘柄の反発が目立ちます

大台の回復には値がさの反発が必要だが、一段の景気回復と業績改善を期待できる材料待ちに

次に、下落した117銘柄のうち、下落率の大きい10銘柄も図表1の通りです。昨年好調だった情報・通信業などが大きく下げていますが、117銘柄全体でも、コロナの感染拡大が追い風となった銘柄の調整がみられます。なお、検証期間における日経平均株価の変化幅は約2,100円のマイナスでしたが、これに対する寄与額は、上昇した108銘柄が約920円のプラスに対し、下落した117銘柄は約3,020円のマイナスでした。

 

(注)データは2021年2月16日から7月7日。業種は東証33業種。騰落率の単位は%。 (出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表1]日経平均株価構成銘柄の騰落率 (注)データは2021年2月16日から7月7日。業種は東証33業種。騰落率の単位は%。
(出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

また、117銘柄のうち、ファーストリテイリングとソフトバンクグループの2銘柄だけで、寄与額は約1,420円のマイナスに達します。したがって、日経平均株価が30,000円台を回復するには、これら調整中の2銘柄を含む値がさ株(図表2)の反発が原動力になると思われますが、そのためには、持続的な世界景気の回復と、国内企業の一段の業績改善を期待できる材料が待たれます。

 

(注)データは2021年2月16日から7月7日。業種は東証33業種。騰落率の単位は%。寄与額の単位は円。企業は2021年7月7日の終値を基に、みなし額面を調整した株価を計算して上から大きい順に並べた。 (出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表2]日経平均株価の値がさ株上位10銘柄 (注)データは2021年2月16日から7月7日。業種は東証33業種。騰落率の単位は%。寄与額の単位は円。
企業は2021年7月7日の終値を基に、みなし額面を調整した株価を計算して上から大きい順に並べた。
(出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

 

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『日経平均株価30,000円台回復の条件』を参照)。

 

(2021年7月8日)

 

市川 雅浩

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

チーフマーケットストラテジスト

【ご注意】
●当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
●当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、三井住友DSアセットマネジメント、幻冬舎グループは責任を負いません。
●当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
●当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
●当資料は三井住友DSアセットマネジメントが信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
●当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
●当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧