(※写真はイメージです/PIXTA)

コロナ禍の影響を受け、他の先進国よりやや回復が出遅れ気味の韓国経済も、半導体や車関連など、従来より経済をけん引していた輸出部門はいち早い回復を見せています。また、M&Aの件数も大幅に増えていますが、今後の韓国経済の進展のカギを握るのは、M&Aの「デジタル化」だといえます。※本記事は、Datasite日本責任者・清水洋一郎氏の書き下ろしです。

韓国、国内経済は低調も「輸出部門」は回復傾向

IMF(国際通貨基金)は3月の発表にて、韓国のGDP成長率予測を3.1%から3.6%に修正しました。また、昨年の韓国の成長率は-1%で、これも他の先進国の大半よりも低いGDPの下げ幅となっています。

 

新型コロナウイルス感染症拡大での韓国の対応は、他国にも参考になるモデルとして広く認められています。韓国政府は先日発表した予算案でも、様々な支援策を導入しています。国内経済の回復にはより長い時間がかかる可能性がある一方で、コンピュータの半導体や車が先導する韓国の輸出部門はひと際早く回復していっています。海外への輸出販売は、2月だけで9.5%も増加しているのです。

2021年第一四半期、韓国のM&A件数は増加

更に、今年の第一四半期における合併・買収(M&A)に関する数字(106件、126億ドル相当)は、2020年(83件、51億ドル相当)や2019年(81件、117億ドル相当)の同じ時期の数字よりも大幅に大きくなっています。また、取引件数に限ってみれば、韓国で合わせて161億ドル相当、104件の取引が行われた2018年の第一四半期よりも大きな数字となっています。

 

M&Aの活動は韓国で活発になっており、特に商工業部門、技術・メディア・通信部門、および消費者部門で顕著です。このことから、韓国におけるM&Aはより将来の見通しが立ちやすくなっています。実際に、韓国の企業、プライベート・エクイティ・ファンド、投資銀行、法律事務所、および専門サービス企業の100人を超えるM&A実務担当者らに調査を行ったところ、韓国の取引決定のエコシステムを深く理解するための手がかりが得られました。特に韓国のM&A遂行、デューデリジェンス、およびアセットマーケティングのプロセスがいかにデジタル化されていて技術的に洗練されたものなのか、知ることができました。

 

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