仕事中に気分転換!「仕事の領域で」趣味をもつ重要性
①仕事に“趣味”を持て
「趣味を持って物事に当たる」とは、自分の気持ちをどんどん出していく、ということだ。
「この仕事はもっとこうしてみたい、あんなことをやってみたい」
「こうなったから、これをこうすればこうなるだろう」
こんな具合に、さまざまな理想・欲望をそこに加えてやっていく。これで初めて「趣味を持った」ということになる。
《略》
ぜひ人は、それぞれの仕事の領域において、すべてこの趣味を持って力を尽くしてほしいと思う。もし、一人前の趣味を持つことができ、この世界でその趣味に向かってまっすぐ進んでいくことができたなら、世の中に相応の御利益がもたらされるだろう。
そこまでいかなくても、趣味のある行動であったなら、その仕事に当たるとき必ず魂のこもった働きをすることができるはずだ。
②「気を転じる」ことの効用
何か気になること、心配なことなどがあって、ずっと解決しないために深くとらわれて考え込む――。こういうのは、ただ上手くいかないだけでなく、たいへん体力をすり減らす行為だ。
こういうときは、心機一転して、まったく違った世界のことを考えるのがいい。たとえば、銀行事業の相談に乗った次は教育、工業の話のあとは慈善事業というふうに、ぜんぜん違った問題を考えるのだ。
ただし、当初の問題の解決がつくまで、その内容自体を完全に忘れ去ってはいけない。
長唄を歌うとか、一中節を語る※とかいったことも、娯楽だから、精神を休養させるのにはとても有効だが、そのあいだは仕事をする時間が減ってしまうことになる。
なんだか慌ただしいような気もするが、仕事中に別の仕事で気分を転換し、精神を休めることができるなら、さらに有益だ。
※ 長唄、一中節…江戸時代の三味線歌曲
③まだ若者には負けない
私はもちろん今や老いぼれて、老人と言われている。しかし、元気においては若者に劣るとは限らない。そんなつもりでいる。
昔から肉体労働や運動などはしていないけれど、できるだけ身体は動かしている。必要とあらば演壇に立ってしゃべったりもする。
夜も12時より前に寝ることはない。だいたい夜の9時から10時ごろに帰宅して、それからなるべく新聞や雑誌のたぐいにひととおり目を通す。この間に演説の原稿を修正したりもする。