渋沢栄一が語った「国を豊かにするには」
■独立自尊と倨傲不遜
福沢(諭吉)先生が力説していた「独立自尊」について、私の解釈を述べておこう。
絶対的に、完全に人は独立自尊できるかというと、それはとても不可能だろう。そして、こういう感覚が身についていたら、どれだけ「独立自尊」を自らのモットーにしていても「倨傲不遜(きょごうふそん)」に陥らないで済むと思う。《略》
つまり「独立自尊」を信じる場合でも、常に相対的な視点を忘れないことだ。偏らず傾かず進んでいけば、社会の実態と上手くバランスをとっていける。
■「自助」だけでいいのか
国を豊かにするには、どうすればいいのだろう? 自分のことだけ考えていればいいのか。だが、それで国家の隆盛をいつまでも維持できるだろうか。つまり――、「自らを助ける」と「互いに助ける」。「自分を愛する」と「他者を愛する」。「自らを高める」と「他者を尊重する」。
自助と互助。もしくは自愛と他愛、自尊と他尊……。これはかなり研究すべきテーマだと思う。