日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回、焦点をあたるのは「博士離れ」と「学術論文数」。

学術論文数で見る…日本と世界との差

学術論文数を分野ごとに見ていきましょう。「化学」「医学」「コンピュータ科学」「工学」「物理学」の5分野については、世界トップ5に入りますし、また多くの分野でトップ10にランクイン。ランキング的には悲観するほどではないように思えるでしょう。

 

【世界の学術論文数…日本の順位】

●化学系

1位「中国」50,753件

2位「米国」15,050件

3位「インド」11,481件

4位「日本」7,267件

 

●医学系

1位「米国」143,392件

2位「中国」69,223件

3位「イギリス」30,761件

4位「日本」30,043件

 

●コンピューター科学系

1位「中国」69,932件

2位「米国」32,373件

3位「インド」25,004件

5位「日本」9,243件

 

●工学系

1位「中国」134,542件

2位「米国」54,304件

3位「インド」23,850件

5位「日本」14,952件

 

●物理学系

1位「中国」53,180件

2位「米国」27,311件

3位「ロシア」18,158件

5位「日本」12,716件

 

●生物科学系

1位「米国」59,325件

2位「中国」52,040件

3位「インド」14,075件

6位「日本」12,001件

 

●材料科学系

1位「中国」34,219件

2位「インド」12,653件

3位「ロシア」8,750件

7位「日本」3,142件

 

●天文学系分野

1位「米国」3,585件

2位「イギリス」1,068件

3位「中国」1,041件

8位「日本」549件

 

●地球科学系

1位「中国」15,463件

2位「米国」14,956件

3位「ロシア」4,727件

9位「日本」2,294件

 

●数学系

1位「中国」10,981件

2位「米国」8,595件

3位「インド」4,685件

10位「日本」1,644件

 

●天然資源・保護系

1位「中国」16,793件

2位「米国」6,205件

3位「インド」2,471件

11位「日本」421件

 

●心理学系

1位「米国」16,110件

2位「イギリス」3,926件

3位「ドイツ」3,339件

11位「日本」1,071件

 

●農業科学系分野

1位「中国」12,580件

2位「ブラジル」5,234件

3位「米国」5,089件

14位「日本」1,015件

 

●社会科学系

1位「米国」31,018件

2位「イギリス」9,822件

3位「中国」5,486件

18位「日本」1,435件

 

出所:NSF(National Science Fundation)

 

ただ1位との差に注目すると、「物理学系」では4.1倍、「医学系」では4.7倍、「化学系」では6.9倍、「コンピューター系」では7.5倍、「工学系」では8.9倍になります。これが世界一と日本との差です。

 

このように産業、経済のベースとなる研究力の低下は、あらゆるところで世界との差となってあらわれているといわれています。

 

たとえば実質GDPの見通し。IMF、国際通貨基金の発表によると、2021年、世界平均は6.0%成長に対し、インドは12.5%、中国は8.4%、アジア新興国と開発途上国は8.6%。そして先進国平均は5.1%としています。主要先進国で見てみると、「米国」6.4%、「フランス」5.8%、「英国」5.3%、「カナダ」5.0%、「イタリア」4.2%、「ドイツ」3.6%、そして「日本」が3.3%。新型コロナウイルスの感染状況、ワクチン接種の進み具合などにもよりますが、日本の出遅れ感が鮮明になっています。

 

日本がこのまま没落していってしまうのか、それとも踏ん張るのか……「博士離れ」の流れを止められるかにかかっているのかもしれません。

 

税務調査を録音することはできるか?
相続税の「税務調査」の実態と対処方法

>>>12/10(火)LIVE配信

 

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録