日本人は「現金・預金」での資産形成を望むが…
公務員でも減給やリストラはあり得ますが、その割合や可能性は、一般企業に比べればまだまだ低いといえます。風当たりの厳しい転職市場に足を向けるのは得策ではないでしょう。
とはいえ、このままでは経済的な問題を解決することはできません。公務員の肩書を維持したまま、豊かな老後や豊富な子どもの教育資金を確保するには、どうすればいいのでしょうか?
この質問をすると、多くの人は「預金する」と答えます。預金による資産形成は、特別な勉強をする必要がないので手間いらず。さらに1000万円までは元本が保証されるので安心なのです。そもそも、日本人で銀行や郵便局に口座を持っていない人はいないといえるほど手軽です。
日本銀行が2016年4月に公表した「資金循環の日米欧比較」レポートによると、日本の家計の金融資産構成比率は「現金・預金」が51.8%でした。アメリカは13.7%、ユーロエリアは34.4%ですから、いかに日本人が預金好きかわかります。
インフレが進むとお金の価値は相対的に下がっていく
ところが、預金には大きなリスクがあります。
まず、現在の金利が低すぎることです。2016年1月現在の定期預金の金利は、年利0.2%前後です。たとえ1000万円預けても年間2万円しか増えません。これでは、子どもの1カ月分の教育費にも満たないのではないでしょうか。
さらに大きなリスクがインフレです。インフレとは、経済が成長していくうえで物価やサービスの価格が上がっていき、相対的にお金の価値が下がっていくことです。
インフレは、消費者物価指数の推移を確認するとよく理解できます。1950年の消費者物価指数を1とすると、2014年は8.19です(東京都)。64年間でお金の価値は8分の1になりました。これは1000万円の預金が、125万円の価値になってしまったということです。
日本ではバブル以降、デフレが続いていました。しかし、これは長期的視点で見ると例外中の例外です。最近はさまざまな商品の価格が上昇中で、たとえば、2014年から2015年の1年間で牛肉は約30%、米は約10%も値上がりしています。
今後はさらにインフレが加速するはずです。その理由は、日本銀行がアベノミクスによって前年比2%のインフレ目標を設定しているからです。インフレ率2%で定期預金の金利が0.2%ならば実質1.8%のマイナスです。このようなことから、預金による資産形成は、まったく期待できないといえます。