高齢の親が亡くなった際、親が暮らしていた自宅や事業を行っていた土地にも規定通り相続税が課税されると、残された相続人が住む場所や、受け継いだ事業を行う土地を手放すことになりかねず、生計が不安定になってしまいます。それを防ぐためにできたのが「小規模宅地等の特例」です。減額の幅が大きいことから、適用にはさまざまな条件があるため、十分な留意が必要です。相続専門の税理士が解説します。

賃貸用の土地も「小規模宅地等の特例」は使える?

一定の要件を満たした場合、200㎡までの部分について相続税評価額が50%軽減されます。

 

●2018年4月以降は相続前3年以内の貸付開始は対象外

 

「小規模宅地等の特例」には、不動産貸付用の宅地として「賃貸事業用宅地等」というパターンもあります。

 

このパターンの場合、対象となる土地面積は200㎡まで、相続税評価減の割合は50%であり、他のパターンより評価減となる程度は少ないですが、それでも適用を受けられればとても有利です。主な要件は次のとおりとなっています。

 

 「小規模宅地等の特例」不動産貸付用の「賃貸事業用宅地等」の主な要件 

 

①相続税の申告期限まで貸付事業を継続して行うこと

 

②その宅地を相続税の申告期限まで売らずに、保有し続けること

 

③相続開始前3年以内に貸付事業の用に供された宅地でないこと(事業的規模であれば3年以内に供されたものでも適用可)

 

 ポイント 

上記③のケースは2018年4月1日以降に発生した相続に適用されるので注意!

 

貸駐車場の土地で適用を受けるなら「構築物」が必須

敷地上にアスファルトや機械式装置などの「構築物」があることが必要です。青空駐車場は対象外です。

 

●貸駐車場業を行うための資本投下がポイント

 

「小規模宅地等の特例」不動産貸付用における「貸付事業用宅地等」のパターンでは、アパートや賃貸マンションの敷地のほか、駐車場や自転車駐輪場なども当てはまることがあります。

 

注意すべきなのは、貸駐車場の敷地上にアスファルトや機械式装置などの「構築物」があることが必要だということです。区画を示すロープなどを張っただけの、いわゆる“青空駐車場”は対象とはなりません。

 

また、砂利や芝生などは、「構築物」と呼べるかどうか判断が難しく、実際には貸駐車場業を行うため、資本を投下して設置しているか否かがポイントになります。

 

 

税理士法人チェスター

 

 

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