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急回復、急上昇、消費増
消費者と企業はこれまでキャッシュを貯め込んできました。しかし、最近ではこれを支出し始めています。
米国では、長い間先延ばしにされていた休暇を取る、あるいは食事に出かけようとしている人が増えています。2021年4月30日現在、米国のクルーズ船の予約件数は、運航中止命令の解除前にもかかわらず、パンデミック前の水準を超えています。米国航空会社の国内線予約や、オンラインサービス「OpenTable」を利用したレストランの予約も力強く回復しています。
弊社グループの株式ポートフォリオ・マネジャーのヒルダ・アプルバウムは次のように述べています。「私たちの記憶は、経験や他者とのつながりによって形成されるため、旅行や外食の需要は自ずと回復すると思われます。ただし、市場はすでにそれを織り込んでいます。問題は『こうした企業のうち、コロナ禍でさらに強くなった企業はあるか』ということです。」
ロイヤル・カリビアンなどのクルーズ船運航会社は、運航再開にあたって感染拡大を抑制するための厳格な手続きを採用しています。ヒルトンなどは不動産購入を増やし、業務の合理化を進めています。飲食業では、複数ブランドのレストランを展開するダーデン・レストランツが、テイクアウト、オンライン注文、非接触決済を開始しました。
アプルバウムは次のように述べています。「一部の企業は危機を逆手にとって事業の革新や改善を進めています。経済活動が本格的に再開したときに、競争を勝ち抜く企業に投資するように努めています。」
混乱を乗り越える、成熟企業の適応力と実行力
テクノロジーに精通した比較的新しい企業が過去10年間に目覚ましい躍進を遂げたことを踏まえると、そうした勢いのある企業が注目されるのは理解できます。ただし、競争するための資源を有し、新たな競争相手からも学ぶことを怠らない伝統ある有力企業のことを忘れてはなりません。
そうした例は、アマゾンに対抗するためにデジタル化を推進するターゲット、コストコ、ホーム・デポといった小売業者や、環境に配慮した持続可能な輸送手段への需要増を受けて電気自動車でテスラに挑むGM (ゼネラル・モーターズ) やフォルクスワーゲンといった自動車大手など、いたるところでみられます。とりわけGMは、これまで燃費の悪かった「ハマー」のEVを今秋発売する計画です。
エンターテインメントの分野では、動画ストリーミング配信市場の覇権をかけてディズニーとネットフリックスが争っています。「Disney+」は瞬く間に9,000万人の加入者を獲得し、市場における圧倒的な存在となりました。ネットフリックスは依然として世界一ですが、ディズニーはスター・ウォーズ、マーベル、ピクサーなどの人気作品を持ち、急速に勢力を拡大しています。
弊社グループの株式ポートフォリオ・マネジャーのカール・カワジャは次のように述べています。「今年注目したい投資テーマは、伝統的企業が厳しい競争環境のなかでイノベーションを起こし、実行できるかどうかです。私は成熟企業を投資対象から除外するつもりはありません。」