チーム全員に、まず「費用対効果」を考えさせる
●「安さ」に注目しすぎない
あるときトイレの壁紙が剥がれていたので、インテリアコーディーネーターをしているアルバイトの女性に「壁紙を替えたい」とお願いしました。
彼女は「どうしたいですか?」と聞いてくれたのですが、わたしは「会社に来た人が、トイレを見て思わずSNSに投稿したり、また来たくなるようにしてほしい」「大きな予算はない」と伝えました。
ひとつの案でタイルが出たのですが、まず最初に「高いですよ」と言われました。でも、高いか安いかというところだけを問題にしてはいけないと思うのです。
たとえば、1億円投資して2億円返ってくれば、1億円は安いと感じるはずです。100万円をかけてマイナス100万円になってしまったら、これは失敗になります。大切なのは、あくまで費用対効果。最終的に得になればいいのです。
●チーム内でゴールをイメージしながら議論する
費用対効果の高い仕事をするには、「お客さま」と「ゴール」をチーム内でイメージしながら議論しなければなりません。多くの人は受注元を見て仕事をするので、ゴールが見えていない状態です。
そうすると、当たり障りのないものしか生まれません。
創造性、個性や強みが生きたものはつくれなくなってしまいます。
トイレの壁紙は、最終的にインテリアコーディネーターのメンバーが選んでくれたのですが、「キレイですね」「オシャレですね」と評価されたり、「いい大工ですね」「いくらですか?」と聞いてくる人もいて、反応はさまざま。
まわりからの反応を見ていると、安さだけにこだわらず、壁紙を替えてみてよかったと感じています。
三人寄れば文殊の知恵…「言える化」を欠かさないで
●新しいアイデアは「言える化」から生まれる
ヤマト運輸さんの「クール宅急便」は、お客さまの「生鮮食品が傷むのでどうにかしてほしい」という要望を配達員の方が聞いたことで提案したアイデアだと言います。
そのようなアイデアを発表する場がヤマト運輸さんのなかにあるのです。
社員もアルバイトも関係ありません。
これは、ヤマト運輸さんが「言える環境」をつくっていたからですね。
三人寄れば文殊の知恵と言うように、皆が披露・共有する場や環境をつくっておかなければ、リスクをはねのけることはできません。
リスクマネジメントという意味でも、必要なことを言えないことは問題であると思います。
●「言える化」で離職率も下がる
隠したことを責めてしまう組織は多くあります。
でも、言えない環境にしていることが問題なのです。
「責任はすべて社長のものだから教えてほしい」というスタンスにしていれば、メンバーは情報公開すれば評価されるのだと安心し、言えるようになります。「言える化」が根づかないのは、日本が減点主義だからです。
「言える化」に力を入れれば、離職率も下がるはずです。
隠すこと、ごまかすこと、そしてウソをつくことを誘発してはいけません。
「ごめんね」「ありがとう」ということをリーダーが率先して言えれば、チーム内にも「言ってもいいのだ」という雰囲気が生まれます。
そしてできなかったことがあれば、リーダーが認めて謝る。
そうすれば、「言える化」はとても健康的に進みますよ。