過去の経験値を絶対視する価値観は、もう手放そう
●役職がご褒美になる時代は終わった
ここ数十年の世の中のビジネスモデルの変化の速さは、目を見張るものがあります。商品そのものの価値を維持できる期間がどんどん短くなってきているのです。
先日、日本が世界に誇る自動車産業の部品メーカーがほとんど潰れてしまうのではないか、という報道がなされていました。今後、電気自動車に代わっていくと、部品点数がいまの3分の1になるそうです。そうなると、自動車メーカーの下請会社の仕事も激減するかもしれません。
倒産してしまう企業もあるでしょう。
筆者が以前コンサルをしていたある自動車の部品メーカーでは、40年前に入社したときの図面をいまも使っていると聞きました。
しかし、今後は通用しなくなるのです。業界を問わず、「過去の経験値が絶対」という価値観は手放さなければならないタイミングにきています。
これは、組織運営にも当てはまります。
日本の昔ながらの経営手法で運営している企業は、「昔取った杵柄(きねづか)」で大きな権利を得ている人たちで成り立っています。
●リーダーは「いま」大きな結果を出せなければいけない
日清食品の社長である安藤宏基さんが自身の著書のなかで、「日本の役職はご褒美だ」と指摘していました。頑張ってきたから部長にする、ということでしょう。
このように、これまでの成果「だけ」が役職に反映されているケースはまだまだ多いと思います。「いまこのときに大きな結果を出せるから部長なのです」ということばかりではありません。
野球でたとえるなら、4番がここぞというときにホームランを打たない。
でもそれでOK、というのがこういった組織の特徴です。もしくは、ホームランの定義が世の中と大きくずれているということも考えられます。
筆者がここで言うホームランとは、「いま」最適な考え方・やり方で組織を運営できているか、ということなのです。
過去の成功事例を繰り返すことではなく、いま最適で最善の策やほしい結果を出すことがリーダーの仕事です。
●自分のアウトプットの価値を客観的に見てみる
「10年前、俺はすごかったんだぜ」という理由だけで、ご飯を食べる人が増えてしまうと、いまここで成果を出せる人の足を引っ張ってしまうことにもなりかねません。
これは筆者がリーダーとして一番危惧していることでもあります。
大学入試が代表的な例です。日本は「入り口評価」が一般的。
入学や昇格がゴールなのです。
でも本来は、そのあとどうするのかのほうが大切です。会社でも、役割がありながら、いま価値がなくても勝負できてしまうことが多いように見受けられます。
しかし、今後はそうも言っていられなくなるでしょう。
怖いことかもしれませんが、リーダーこそ、自分がいまここで成果を出せるのかどうか、自分のアウトプットにどんな価値があるのかを客観的に見つめ続ける必要があります。
そして、自分より優秀なメンバーを入れること。若手に譲っていくこと。そんな高い目線を持った選択ができるリーダーになりたいものです。
判断に要する時間は、基本的に1日がベスト
●検討はいらない。決定する
検討 = 時間をかけるものですが、決定 = 時間をかけないものです。
検討がなぜいけないのか。遅くなるからです。そうなると、まわりが動けないので仕事のスピードや品質が落ちて、売上にも影響してきます。
リーダーには、瞬時に物事を判断する力が必要です。限られた情報で瞬時にリスクやうまくいく絵を描いたとき、たとえば「自分のなかで3割ならいこう」などと判断するクセをつけておかなければいけません。
それには、後回しにせず、いまできることをすぐ決めることです。
筆者は、物事の9割以上は5秒で決めています。少なくとも、当日中には決める。たとえ迷っていても決めてしまいます。5分で決めることと、1日考えて決めることというのはじつはあまり変わりません。そうであれば、判断するタイミングを前倒しにして、先に失敗したほうがいいのです。
●即断即決がリーダーの仕事
ただ、金銭についての判断は別の話です。
判断に要する時間は基本的に1日がベストだと思いますが、最低でも3日以内だと考えます。物事は1日、金銭が関係することは3日です。
先延ばしにして手堅い選択を狙うよりも、「いますぐに行動して失敗したら皆でフォローしよう」というチームワークを見せるほうが、価値も生まれます。
世の中のどんなサービスも、早くて困ることはないはず。遅いと嫌がる人が大半です。「明日やろうはバカやろう」とよく言われます。
即断即決は、リーダーの仕事です。
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