医学部専門予備校・TMPS医学館代表取締役の長澤潔志氏が、自らの経験談をもとに、医学部推薦入試における面接対策のゆがんだ実態について解説していきます。 ※2021年上半期ヒット記事特集! 本記事では「医学部受験の闇」を明かしていきます。

合格の決め手になったのは「自己実現」?

「あなたは高校時代にどのように生活していたのか。結果ではなく、何に必死に取り組んでいたのか」ということなのです。県大会で何位かではなく、どれだけ一所懸命に取り組んできたかなのです。にもかかわらず、面接指導の先生たちは、そこを全く聞かない。

 

なぜか。たぶん、時間がかかるし、自分に自信がない。判断も難しいからでしょう。小論文添削の先生と同じです。「てにをは」を直しているに過ぎないのです。赤ペン先生もそうでしょう? 些末(さまつ)な「てにをは」レベルのことを直すだけでお金を取っています。実際問題、それでは何の役にも立ちません。

 

面接も小論文も、その子と真剣に向き合わなくては、本当の添削などできるはずもありません。特に医学部の論文に関していえば、多くの場合、その子の発想を根こそぎ変えないといい点など取れないのです。それこそ甘ったれた根性そのものを変えないとダメなのです。

 

小論文もさることながら、面接には知識だけでなく、人間性がにじみ出るものです。実際にそのような指導を行って、国立大学の医学部に何回か合格させた経験があります。あるエピソードを紹介します。

 

面接試験から帰ってきたある女生徒が私に話してくれたのですが、面接試験の最後に試験官が、その女生徒に対してこのように言ったそうです。

 

「何十年も面接官をしてきたけれど、高校生が『自己実現』という言葉を使ったのは初めてだよ」

 

私はそれを聞いて、「よっしゃ、もらった」と思いました。実際、「自己実現」ということを徹底的に教え込んでいたのです。その女生徒は受験の3カ月前に私のところに来て「実は精神科医になりたいのです」と言うのです。

 

理由を聞くと、「友達から相談を受けるのが好きで、相手が喜んでくれるのがうれしいから」と答えました。「そうか、だからか。だったら、もし友達に相談されないようになったとしたら、どう感じる?」と聞きました。すると、「んー、つまらない」と答えるのです。「だろうな、それじゃあダメだ。その程度の気持ちが受験の動機なのか? 情けないやつだ。なんでそんなに浅く考えているのだ」と私は怒りました。

 

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本連載は、『医学部受験の闇とカネ』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。なお本記事で紹介している内容は、著者の体験をもとに執筆しております。万一、本連載の記載内容により不測の事故等が生じた場合、著者、出版社はその責を負いかねますことをご了承ください。

医学部受験の闇とカネ

医学部受験の闇とカネ

長澤 潔志

幻冬舎メディアコンサルティング

講師歴30年の医学部専門予備校代表の長澤潔志氏が、実体験をもとに、合格率を偽って、「授業料を挙げる予備校」、「コネとカネがなければ合格できない推薦枠を設ける大学」、「指導力不足で受験生を浪人に導く高校」など、さま…

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