一人称が「俺」で、すべてタメ口でも合格できたことも
しかも、今までの幼稚さから徐々に人間性を磨き、発想すら換えることのできるきっかけになるのが面接の勉強なのです。ところが多くの予備校や親は面接を二の次に考えています。子供は親や予備校講師の言うことを信じます。だからこそ、そうした大人の責任は重大なのです。
仮に、身勝手な親の発想と、無責任、未成熟な部分を持つ子供たちの間で、人間性が育つとするなら、それはなんと危なっかしいことでしょう。大学に「貴」などいりません。ドアに引っ掛かったって、椅子に座るタイミングを間違えたって心配しなくていいと思います。
質問に答えるのに、心にもないことなど答えなくていいのです。本当のことを答えるほうがいいのです。本当は部活をやめたかったのであれば、それを隠す必要はない。なぜやめたかったのか、なぜやめなかったのか、その葛藤を話すほうがいいと思います。
「部活動で協調性を学んだ」なんて、嘘をつく必要はない。そのままの自分について答えればいいのです。私は、そう教えます。それで落ちるということはありません。これは別にお勧めではありませんが、最初から最後まで敬語なし、タメ口で受かった子もいました。話の内容が良かったのです。
その子も部活をやめたかった。でも3年間頑張ったら、最後にうれしさが込み上げてきたというのです。それでいい。そのままの話をしてこい。「わたくし」なんて言わなくていい、いつものように「俺」でいい。それで彼は受かったのです。
面接官が求めているのは、決して可もなく不可もない優等生タイプの子供ではありません。一所懸命で熱い気持ちが欲しいのです。そうすれば、この大学に来ても同じように一所懸命に熱く、勉強に、その他の活動に打ち込んでくれるだろうと考えるからです。どうしてそのくらいのことが分からないのか不思議でなりません。
長澤 潔志
医学部専門予備校・TMPS医学館代表取締役
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