「1回1万円」の面接対策講座がお粗末な理由
医学部に合格するためには、面接も重要です。もちろん、各予備校で面接テクニックを磨くための時間が用意されています。私は大学で教師をしていた時に、何度も面接官として受験生を採点してきました。したがって何を見ているかよく承知しています。
その目でこの面接講座なるものを見ると、これまたほとんどお粗末な場合が多いのです。受講料の相場は大手の場合、面接講座3回で3万円。ところがその内容はどの医学部専門予備校に行っても、ほぼデタラメなのです。
ドアをノックして、呼ばれたら、「失礼します」と元気よく答えて、ドアを開け、お辞儀をする。そこから始まります。「ノックの仕方が違う」とか「お辞儀の仕方が悪い」「まだ座ってはダメ」など、小中学校のお受験と同じレベルのことしか教えないのです。そんな講座に親はまたお金を払うのです。しかも、ほんの短時間しか行いません。
ちなみに、座ってからのやり取りの指導も笑えないものです。
「あなたは高校の時、主にどんなことをしてきましたか?」
「えーと」
「『えーと』じゃないでしょ!」
「この大学は…」
「この大学ではダメ! 貴大学と言いなさい」
皆、同じことを教えるから、皆、同じことを言うようになるのです。確かに皆、ちゃんとお辞儀をする。でも、お辞儀は採点項目にはありません。印象はいいでしょうが、問題は中身です。
しかし、「高校時代に何をしていたの?」と聞かれると、皆が皆、「部活をやっていました。県大会で何位でした。私は部活で協調性を学びました」というふうに答えます。あるいは「努力することを学びました」、または「忍耐力を学びました」、全く笑えます。面接試験官の時に思わず、「それ、先生にそう言えと言われたの?」と質問したことがあります。まだ若いからでしょう。頭を掻きながら、その学生は「ハイ!」と答えました。
面接に来る受験生の答え方は皆同じです。指導した学校や予備校の先生たちのいい加減さが目に見えるようです。まだ大学での就職面接指導員のほうが要領を得ています。私の大学の場合、面接官は私を入れて3人でしたが、どの先生も同じような答えであれば評価は当然、B判定。つまり、面接官は受験生にそんな答えを聞きたいわけではないのです。
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