「芯の強さを作るために」面接指導は厳しく行う
その日から3カ月の間、週に4時間ずつ3日に分け、面接指導をしました。その間、録音もさせて、自分の面接を何度も聞き直させました。「君は他人から頼りにされると気持ちが良くて、頼りにされないとつまらないというわけだろ。他力本願って分かる? つまり、相談されて喜んだのは友達ではなく君自身なのだよ。君は友達を救わないで、自分を救っていたのだ」
「どういうことかというと、君は自己がないから、自分で自分を褒めないで、友達が喜んだと分かって自分が満足したのだよ。つまり、他人によって自己を満たされて、満足したわけだ。それでは他人の気持ちを救う精神科医にはなれない。本当の意味で他人を救えるのは自己がない人ではなく、自己を持っている人なんだよ。では、自己を持つということは、どういうことなのだと思う?」
「他人に評価されるから自分自身が存在していて、他人に評価されなければ、自分という存在もなくなってしまう。そんなふうに自分で自分の価値を他人に預けていてはダメだ」
と諭しました。そこからは、毎回ディスカッションをしました。そう、自己の価値を他人に預けてはいけないのです。そうではなくて、価値は常に自分の中におくことが大切です。他人がどう思うか、感じるかではなく、自分で自分の心を満足させられるかが価値判断の基準であるべきなのです。
そうでなければ、人間は強くはなれません。他人や周りの事情に左右され過ぎてしまいます。ぶれない人間にはなれなくなるのです。自己を持つことこそ、他人を救う医者の第一歩なのです。
「孤高」になれとまでは言いませんが、他人や周りの価値判断に左右されない、ぶれない強さを持ってほしいと思います。本当の意味で自信をつけるということです。それが自己実現につながることではないでしょうか。
彼女は、面接の特訓を通して、そのことを徐々に理解していったのです。ことほど左様に、面接の勉強は大切です。医学部にはほぼ間違いなく面接があります。私立の場合は100%です。実際、受験において面接の重要性は高まっています。
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