患者が通院したくなるクリニック…食事指導は「集団」で行う (※写真はイメージです/PIXTA)

患者から「他のクリニックとは違う」「ここに通いたい」と思われるクリニックを作るには、どうすればよいのでしょうか。差別化を図ると言うと、ダイナミックでシステマティックなことをイメージしがちですが、地域で評判のクリニックを見てみると、意外にも「当然のこと」こそ集患のコツであるとわかります。医療機関コンサルの筆者が実践的なヒントを解説します。

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実はいちばんの差別化戦略になる「当たり前のこと」

経営を語るうえで「差別化戦略」は抜きにできませんが、クリニックの独自性はどうやって出せばよいのでしょうか。地域で評判のクリニックからヒントを探ってみましょう。院長先生の個人的なキャラクターやスキルによる部分は考慮せずにその他の要因にフォーカスすると、他院でも採り入れられる独自の工夫が見えてくるはずです。

 

まず、整形外科、耳鼻科、皮膚科クリニックでは、多くの患者を診なければならないので、こんな視点で工夫されています。

 

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●待ち時間を短縮する、あるいは時間を感じさせないようにする

●受付スタッフや看護師で対応できることは思い切ってスタッフに任せ、診察時間を濃密にする

●初診の事前問診は看護師が行う

●リハビリの施術は、患者の入れ替えがスムーズになるようにベッドや機器を配置する

●待ち時間が発生し、院外で待ってもらう場合は、おおよその時間を伝える

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内科や眼科における検査の工程管理ではどうでしょうか?

 

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●初診患者の定型的な検査は再診患者と動線を分けて、ドクターの診察時間に干渉させない

●定期検査は診察開始前に済ませておく

●次回の検査や処置等の内容を電子カルテで共有し、受付スタッフ、看護師間でも情報共有する。重要項目は、朝礼等で重ねて内容確認を行う

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前記は診療に直結する内容なので取り組むイメージが湧きやすいのではないでしょうか。具体的な施策(業務フロー)はクリニックごとに異なると思いますが、参考にしてください。

 

この他にも、院内報を定期発行したり患者会の主催による啓蒙活動を行ったりするのもいいでしょう。朝礼で申し送りを徹底したり、診療理念を唱和したりすることもお勧めです。ただしこれらは「継続は力なり」というように、一時的な取り組みでは「差別化」には至りません。

 

実はこの一見簡単なことが、いちばんの「差別化戦略」なのです。「差別化戦略」というとつい、ダイナミックでシステマティックなことをイメージしがちですが、当たり前のことを当たり前にできるクリニックであること、院長の考えを理解したうえで、患者サービスができるスタッフが一人でも増えることが「他とは違う」「ここに通いたい」と思われるクリニックを作っていくのです。

 

最新機器を使うのも、ITシステムを活用するのも、クリニックを運営するのも、院長をはじめとした「人」です。「AI(人工知能)に仕事を奪われる」と騒がれている今だからこそ、「人にしかできないこと」を追求していきましょう。

 

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どのクリニックも悩む「患者のドロップアウト」

クリニックにとって、慢性的な疾患を抱える患者に「いかに継続的に通ってもらえるか」は永遠のテーマだといえるでしょう。

 

その一つが、内科で生活習慣病の治療の一環として行われている「栄養指導」です。管理栄養士による食事指導を行うにあたり、患者を離脱(ドロップアウト)させることなく指導を継続させる難しさにはどのクリニックも頭を悩ませています。

 

生活習慣病というのは、長年の「習慣」によって作られた病気です。人間にとって習慣を変えるほど難しいことはありません。歳をとればとるほど、生活全般においてなにかを「変える」こと自体が億劫になります。身も蓋もない言い方をすれば、自己管理ができないから病気になっている人がほとんどです。お酒にせよタバコにせよ、「分かっちゃいるけど、やめられない」ということなのですが、クリニックとしては見過ごすわけにはいきません。継続させるための工夫をいくつかご紹介しましょう。

離脱が多い「栄養指導」を継続させる工夫

【1.「楽しい栄養指導」をテーマに集団指導に移行】

開業2年目を迎えたAクリニックでは、食事指導を受ける患者が減っていることが一つの経営課題となっていました。そこで院長は、食事指導を断った患者やドロップアウトした患者に直接その理由を尋ねていったのです。するとこんな答えが多いことに気づきました。

 

「言われていることはごもっともなんですが、なかなかできないんですよね。毎回、怒られているような気がして、嫌になっちゃうんですよ」

 

患者にとっては、個別面談で叱られる生徒のような気持ちなのかもしれません。そこで院長は栄養士と相談した結果、「楽しい栄養指導」をテーマに、栄養指導の方法を「個別」から「集団」に変えてみたのです。

 

子どもに歴史アニメを見せる感覚で、ビデオや紙芝居を活用し、面白くて理解しやすい内容にしました。できないことを咎めたり、叱ったりするようなことはしません。患者が自ら率先して取り組める環境作りを心掛けています。

 

1人あたりの診療点数は下がってしまうので、損をしているように感じるところもありますが、「継続的に通院し、数値を改善する」ことが目的なので、長期的に見れば患者にとってもクリニックにとってもプラスになることが考えられます(外来栄養食事指導料:初回260点、2回目以降200点。集団栄養食事指導料:80点)。

 

【2. 変化を「見える化」し、モチベーションアップにつなげる】

評判のいいクリニックに共通する取り組みとして、患者に変化を実感してもらえるように、血液検査のデータやレントゲン画像を見た目で把握できるようにしています。デジタル機器を活用した最新の取り組みでは、スマートフォンのアプリに自宅で血糖値や血圧、体重を測り、記録することで、治療管理をサポートするクリニックも現れています。

 

日々の経過を追えるので、患者自身の健康意識やモチベーションが高まるだけでなく、「患者の状態をこまめに把握できるので診療の質が上がる」というドクター側のメリットもあります。

 

【3. 正直に説明して、信頼を得る】

患者が口にするかどうかは別にして、「こんなに頻繁に検査をやる必要があるのか?」といった不満は多かれ少なかれ持っていると考えておいた方がよいでしょう。それがクリニックや院長に対する不信感に変われば、ドロップアウトの引き金になります。

 

専門家であるドクターと素人である患者の間には「情報の非対称性」があるので、診療方針について100%の理解を求めるのは無理があるでしょうが、ドクターとしては説明責任を果たす必要があります。

 

私個人の経験ですが、持病がある関係で、かれこれ15年ほど病院の世話になっているのですが、以前通っていた病院の主治医の先生がおっしゃっていたことは今も印象に残っています。

 

「一般的な大人が社会生活を送っていこうと思うと、病気だけに向き合うことはできません。仕事や家庭、プライベートを含めた社会生活の一部として、病気と向き合って治していく必要があります。時間とお金や生活の質を総合的に考えて、自分がどういう診療を望むのかを決めたうえで受診する医療機関を探してください。もし当院に通い続けるのが難しいとおっしゃるのであれば、自宅から近いクリニックを紹介するので遠慮なく言ってくださいね」

 

これまでの人生で、そこまで踏み込んだ話をしてくれたドクターはその方だけです。糖尿病や高血圧等の生活習慣病は特に、通院も含めた治療や健康管理が生活の一部になるので、無理をすると絶対に続きません。

 

選択肢を患者に委ねることでその患者はクリニックから離れてしまうかもしれませんが、「あの先生は誠実だ」という評判が新たな患者を呼ぶ可能性もあります。長い目で見たアプローチも、時には必要になるでしょう。

 

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どのやり方が正解だと結論づけられるものではありませんし、一つのやり方が上手くいったからといってずっとその状態が続くわけでもありません。いずれ患者は飽きてくるので、そのときはまた別の方法を考える必要があります。なにもやらなければ患者は減っていく一方ですが、知恵を絞ってさまざまな手を打つことで、ドロップアウト率を低く抑えることはできるのです。

 

 

柳 尚信

株式会社レゾリューション 代表取締役

株式会社メディカルタクト 代表取締役

 

 

 

 

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株式会社レゾリューション 代表取締役
株式会社メディカルタクト 代表取締役 

会計事務所系コンサルティング会社にて、医療機関のコンサルティングを行う。

経営戦略立案、管理会計、人事労務ほか事業承継(M&A)も手掛ける。

また、各地区医師会やハウスメーカー、医療機器メーカー等で、セミナー講師として講演を行い、日経メディカルオンラインでコラム「開業の落とし穴」を第51回まで執筆するほか、日経ヘルスケアで「診療所経営駆け込み寺」を連載する等、セミナー講師・原稿執筆の実績も多数。

著者紹介

連載クリニック経営はレセプトが9割

※本連載は、柳尚信氏の著書『クリニック経営はレセプトが9割』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

クリニック経営はレセプトが9割

クリニック経営はレセプトが9割

柳 尚信

幻冬舎メディアコンサルティング

人口は減少の一途をたどり、クリニックも激しい生存競争にさらされる時代。売上の伸び悩み、他院との差別化がうまくできていないなど、経営に頭を抱えるドクターが増えています。 そんな方々を助けるカギとなるのが、診療報…

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