日常のリスクに備えるには、保険への加入が大切です。しかし、備えるべきリスクの種類やレベルは人それぞれです。安易に加入すると、せっかくの保険も「無駄な支出」になりかねません。「リスク対策」としての保険とその見直しについて、専門家が解説します。※本記事は、『自然災害に備える!火災・地震保険とお金の本』(自由国民社)より抜粋・再編集したものです。
保険の見直し…まずは「洗い出し」「重複チェック」を
「保険はお守り」とよく言われますが、確かに保険に加入することによる安心感のおかげで、健康でいられたり、事故を起こしにくくなったりするかもしれません。しかし、ここは一度冷静になって、現在加入している保険の見直しを考えてみましょう。
見直しをするときには、ファイナンシャルプランナーや担当の保険代理店などに、自分のケースにあてはめて具体的に実行を助けてもらうのがベストですが、その前に自分の保険についてちゃんと把握しておくこと、方向性や希望を言えるようにしておくことが大切です。
■見直しの着眼点その1:現在加入している保険の洗い出し
見直しの前に、まずは加入している保険をすべて洗い出します。会社員の場合は、会社で団体加入した保険を忘れがちですので、確認してみてください。自営業の場合は商工会や業種別の団体などで加入している保険がないかも要チェックです。
加入している保険が出そろったら、「主に何を保障する保険か」「保険期間はいつまでか」「保険料はいくらか」という3つのポイントを、一覧にするなどして最低限整理しておきましょう。
■見直しの着眼点その2:重複した保険がないか確認
生命保険には「主契約」、損害保険には「基本補償」と呼ばれる、基本となる契約内容があり、それに付帯できる特約があります。保険の内容を正確に知るには、主契約と特約を把握することが大切です。主契約や基本補償は、解約すると保険が終了してしまいますが、特約の場合のほとんどが取り外し自由です。
加入している保険の中には重複した特約があったり、同じ内容の主契約や特約に重複して加入していたりするケースもあります。重複している保障は見直しの対象になりやすいので、自分でできるかぎり洗い出しておきましょう。
■見直しの着眼点その3:保険と緊急予備資金のバランスを考える
リスク対策では、もっとも大切な考え方です。リスク対策は保険がすべてではありません。日頃の予防策から手元現金である緊急予備資金の準備もリスク対策です。現在加入している保険の内容を見て、保険に頼るべきものかどうか、頼るならどれくらいの金額か、など、まずは自分なりの目安を考えてみることが大切です。
保険で準備すること、緊急予備資金で準備すること、予防で対処すべきこと、という考え方をすると、現在加入している保険で必要なものとそうでないものが明確になりますし、必要であるならどれくらい必要になりそうかも見えてきます。
このように考えていくと、今までリスク対策=保険で支出していた保険料は、リスク対策費用=予防費用+緊急予備資金+保険料、という目的が明確になった支出に変わります。
保険の見直しというと、なんとか保険料を減らそうとか、よりよい内容の保険に切り替えようという理由が先行して、見直しをしているケースが多く見られますが、上手な見直しをするには「リスク対策の方法は保険だけではない」という入り口から入っていくことが大切です。
石川 英彦
金融デザイン株式会社 代表取締役
高田 晶子
金融デザイン株式会社 取締役
三上 隆太郎
株式会社MKM代表取締役
金融デザイン株式会社 代表取締役
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
1968年愛知県生まれ。南山大学経営学部卒業後、北米大陸をオートバイで周遊。帰国後、保険代理店の手伝いをしたことで金融の世界を知る。その“奇妙”な世界に疑問を感じ「お金に関する情報形成」「売り手と買い手がハッピーになる金融コンテンツづくり」をミッションとした、株式会社マネーライフナビを設立(1996年)。
FP(ファイナンシャルプランナー)の実務をこなしながら多数の金融コンテンツ制作を手がける。2017年9月に社名を金融デザイン株式会社に変更。インフォグラフィックスやウェブのデザインまで領域を広げる。自社開発の「持ち味マネーカード(お金占い®)」を武器に、個人向けオンラインサービス「お金の知恵アカデミー」を展開中。
【主な著書】
生命保険知って得する数字のカラクリ(技術評論社)
損害保険知って得する数字のカラクリ(技術評論社)
損害保険を見直すならこの一冊(自由国民社)
自然災害に備える!火災・地震保険とお金の本(自由国民社)
【運営サイト】
お金をためる・ふやすで失敗しないための3か条を学ぶ「お金の知恵アカデミー」発信の「1分で身につくお金の知恵」を掲載。
https://okane-chie.com/
著者プロフィール詳細
連載記事一覧
連載自然災害に備える!火災・地震保険とお金の基礎知識
金融デザイン株式会社 取締役
1級ファイナンシャルプラニング技能士
宅地建物取引士
大学卒業後、信託銀行に就職、人事部配属。宅地建物取引主任者の資格を取得し、念願叶い不動産部で働くも、お客様と銀行のハザマで苦悩する。「この人、この不動産買っても大丈夫だろうか」と思っても言えなかった罪悪感がその後私をFPへ導いてくれたのかも。信託銀行退職後、イベント会社、不動産コンサルティング会社を経て、1996年、ファイナンシャルプランナーとして独立。2010年まで女性3人で活動、年間300件の相談業務を行う。
2010年より金融デザイン株式会社(旧株式会社マネーライフナビ)の取締役。長年、個人のお客様の声を直接聞いてきたからこそ作れるコンテンツ作成を、個人向けには失敗しないためのお金の知恵を学ぶオンラインサービス「お金の知恵アカデミー」を展開中。
【主な著書】
「住宅ローン」賢い人はこう借りる! (共著、PHP研究所)
「マイホーム」賢い人はこうして買う! (共著、PHP研究所)
損害保険を見直すならこの一冊(自由国民社)
自然災害に備える!火災・地震保険とお金の本(自由国民社)
【運営サイト】
お金をためる・ふやすで失敗しないための3か条を学ぶ「お金の知恵アカデミー」発信の「1分で身につくお金の知恵」を掲載。
https://okane-chie.com/
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株式会社MKM 代表取締役
宅地建物取引士
2級ファインシャル・プランニング技能士
管理業務主任者
賃貸不動産経営管理士
1970年千葉県生まれ。住友林業株式会社、家業の建設会社でもある三上板金工事 有限会社、個人向け不動産コンサルティングを行う株式会社さくら事務所、中古 リノベ事業をリノベ不動産として展開する株式会社WAKUWAKU、総合資格学院の宅建講座の宅地建物取引業専属講師を経て、株式会社MKMを立ち上げる。資格予備校にて宅地建物取引士試験講座の宅地建物取引業法専属講師。個人及び法人向け講演および執筆実績多数。
【主な著書】
損害保険を見直すならこの一冊(自由国民社)
自然災害に備える!火災・地震保険とお金の本(自由国民社)
【運営サイト】
宅地建物取引業者向けに中立的な第三者として、取引の安全性を図るエスクローサービスに取り組んでいます。
https://mkm-escrow.com/
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