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「寄付」は「お金が必要な人に自分のお金を回すこと」
投資は「今すぐにお金を必要としない人が、そのお金を今、必要としている人に回してあげる行為」でしたね。これって何かと似ていませんか？
そう、「寄付」も同じなのです。寄付の場合、「今すぐにお金を必要としている人」もいろいろですが、一番わかりやすいのは震災や台風被害で家や財産を失ってしまった人達でしょう。そういう人達にお金を回すことで、そのお金を使って今の生活状況をより良くすることができます。
もちろん寄付はお金が戻ってくるわけではありませんが（所得控除があるので、国からは寄付したお金の一定部分は戻ってきます）、感謝の気持ちや言葉は戻ってくるかもしれません。何よりも「人のために役立つことをした」という満足感を得ることができるのはお金と同じぐらいの価値があると言っても良いでしょう。
投資も寄付も「今、お金を必要としている人に自分のお金を回してあげる」という点においては同じことです。違いはそれによって得られるのが「お金」か「満足」かというだけです。
日本人はタンス預金好きで、投資も寄付もしたがらない
ところが、残念なことに日本人は投資も寄付もあまりやりません。【図表1】をご覧ください。
これは日銀が2020年8月21日に出した「資金循環の日米欧比較」ですが、これを見ると日本の場合、個人の金融資産に占める現金・預金の割合は54.2％であるのに対して有価証券、つまり投資に回しているお金の割合は13％にしか過ぎません。
アメリカは日本とは逆に現金・預金の割合が13.7％で株式と投資信託に債券を加えると有価証券の割合は50.8％となりますから、日本とは全く逆の割合です。欧州はその間ぐらいですが、いずれにしても日本の現金・預金の割合は突出しています。つまり日本人は圧倒的に現金と預金が好きなのです。
また、【図表2】はイギリスのチャリティー団体Charities Aid Foundation（CAF）および、アメリカの世論調査企業ギャラップの調査による、人助け、寄付、ボランティアに関する指数であるWorld Giving Index（世界寄付指数）と呼ばれるデータからの抜粋です。
これは、「見知らぬ人に手助けをしたことがあるかどうか」、「お金を寄付したことがあるかどうか」、そして「ボランティア活動をしたことがあるかどうか」の3項目にわたってアンケートを取り、いずれもそれをしたことがある人の割合を調べて高い順番に並べたものです。
日本の数字をご覧ください。3項目の総合では世界107位、寄付については64位です。たった23％の人しか寄付をしたことがない、というのです。
日本は長い間不況だったから、そんな余裕がなかったと言う人がいるかもしれませんが、日本は世界第3位のGDPを誇る経済大国です。ところが日本よりもずっと貧しい国のほうが寄付をしている人の割合は、はるかに多いのです。
これを見る限り、日本人は投資も寄付もしないということがわかります。つまり世の中にお金を回すことはせず、手元に現金を持っていて大切に置いているのです。実際に手元に置いてある現金を「タンス預金」と言いますが、この金額は一体どれくらいあるのか？
正確な数字は把握しようがないのですが、さまざまな研究機関の推測では30兆円〜80兆円ぐらいはあると言われています。
世の中にお金を回さないということは人も企業も信用していないということです。誰も信用せず、したがって投資はしないし、人のためにお金を使うのも嫌だから寄付もしない。信用できるのは現金だけだから手元にずっと何十兆円も現金を置いておく。
恐らく日本人は世界一、お金自体が大好きな国民なのかもしれませんね。
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