診療代として多額の現金を受け取るだけに・・・
動物病院では、診療代として多額の現金を受け取ることになります。現金管理を適切に行うことは、経理処理の基本であり、それをおろそかにすると損益を正確に把握することができなくなるため、経営判断にも悪影響を及ぼすおそれがあります。
したがって、現金管理に関しては院長が細心の注意を払うことはもちろん、スタッフに対しても十分な指導を行うことが必要となります。
現金管理を適正に行うためには、具体的に以下のような対策をとることが望ましいといえます。
①毎日、収入を計算し数字が合っているかどうかをチェックする
数字が合わない場合には、お釣りを間違って支払った可能性があります。合わないことが続くようであれば、抜本的な解決策が必要となるでしょう。場合によっては、スタッフの不正を疑わなければならないかもしれません。
②銀行に定期的に預けに行く
忙しいとつい現金を金庫などに入れたままにしがちですが、院内に多額の現金があることは、盗難や横領などの犯罪を誘発する原因となる危険性があります。預け入れる曜日を決めるなどして、最低、週に1回は、銀行に入金するようにしましょう。
③一日のはじめにレジに入れる金額を決めておく
右で触れたように、多額の現金がレジに入っていると犯罪の原因となるおそれがあります。釣り銭のために用意しておく金額をあらかじめ決めておけば、レジに現金がありすぎる状態を避けることができます。
なお、最近は動物病院専門のレジスターも開発されています。動物病院における会計業務や現金管理に役立つ機能が数多く備わっているので、その導入を検討してみる価値があるかもしれません。
両親から資金援助を受ける場合には贈与税に注意
両親からの融資という形で資金援助を受ける場合には、税務署に「贈与」とみなされ、贈与税の納付を求められるおそれがあります。
それを避けたいのであれば、以下のような対策をとることをおすすめします。
・金銭消費貸借契約書を作成する。
・無利息ではなく一定の利息を支払う。
・契約条件に従って返済し、なおかつ返済の記録を残しておく(銀行振り込みの形で返済するなど)。
・融資を受けるのは完済可能な金額にとどめる。
なお、住宅と併用する形で動物病院を建てる場合には、贈与の形で資金援助を受けた場合でも、住宅取得資金の贈与税の非課税制度を利用することで、贈与税の一部もしくは全部を免れることが可能となります。
住宅取得資金の贈与税の非課税制度(正式名称は「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」制度)は、平成24年1月1日から平成26年12月31日までの間に父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築または取得、増改築などの対価にあてるための金銭を取得した場合、所定の要件を満たすときは、一定の金額について、贈与税が非課税になる制度です。
また、相続時精算課税制度を利用した場合にも、2500万円までの贈与には贈与税が課税されません。相続時精算課税制度と住宅取得資金の贈与税の非課税制度は併用が可能です。