前回は、動物病院を法人化した際の主な機関と役割について説明しました。今回は領収書と収入印紙について見ていきます。

「営業に関しない領収書」と見なされるケースとは?

領収書やレシートのように金銭または有価証券を受領した者が、その受領した事実を証明するために作成し相手方に交付する証拠証書は、税法上「金銭又は有価証券の受取書」と呼ばれ、そこに記載された受取金額が5万円以上のものについては印紙税が発生します。

 

逆にいえば、受取金額が5万円未満であれば印紙税を支払う必要はないわけです(平成26年3月31日以前に作成されたものについては、3万円未満の場合が非課税となります)。

 

印紙税の納付は、一般に収入印紙を貼って、これに消印をすることにより行うことになります。

 

もっとも、5万円以上の金銭などを受け取った場合でも、領収書が税務上「営業に関しない領収書」として取り扱われる場合には、印紙税の納税義務が生じないことがあります。たとえば、医師や歯科医師がその業務上作成する領収書は「営業に関しない領収書」とみなされています。

 

そして、同様に、個人経営の動物病院の獣医師が、診療行為の報酬としてお金を受け取ったときに渡す領収書も同じ扱いとされています(なお、診療行為でないペット用品、ペットフードなどの販売については印紙税がかかります)。

営利法人は領収書に収入印紙の添付と消印が必要

しかし、動物病院が個人経営ではなく営利法人の形をとっている場合には、「営業に関しない領収書」とはみなされません。

 

そのため、診療代金の受け取りに対して発行する領収書には収入印紙の添付と消印が必要となります。

 

ちなみに、その場合の印紙税の額は以下のような基準に基づいて定められています。

 

記載された受取金額

 

5万円未満                           非課税

5万円超100万円以下            200円

100万円超200万円以下        400円

200万円超300万円以下        600円

300万円超500万円以下        1000円

500万円超1000万円以下      2000円

1000万円超2000万円以下    4000円

2000万円超3000万円以下    6000円

3000万円超5000万円以下    1万円

5000万円超1億円以下          2万円

1億円超2億円以下               4万円

2億円超3億円以下               6万円

3億円超5億円以下               10万円

5億円超10億円以下             15万円

10億円超                           20万円

受取金額の記載のないもの    200円

 

「法人の場合でも印紙税は不要」と思い込んでいる人も多いようですので、注意が必要です。

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    本連載は、2014年8月27日刊行の書籍『どうぶつ病院を繁盛させる50の方法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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    百瀬 弘之

    幻冬舎メディアコンサルティング

    勤務医の時代はたとえ給料は安くても、独立して動物病院を開業すれば十中八九成功が約束されていた獣医師。 ペットブームの恩恵を受けて市場を拡大し続けてきた獣医師業界ですが、近年の動物病院の増加により飽和状態に。さら…

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