共有分割は将来の紛争を招くだけ
さて、問題の答えですが、①③④は、どれも分け方としては正解です。
②は住んでいる人が相続することができたとしても、代償金等を支払わなくてもよいことにはならないため誤りです。
先ほど解説した不動産の4つの分割方法に当てはめると、①が共有分割、③が代償分割、④が換価分割となります。
裁判で争った場合はどうなるかといいますと、裁判所は現状を優先することから、Y子さんが住んでいるので、Y子さんが土地建物を相続することを希望して、かつ、代償金3000万円を支払う資力がある場合は、③の代償分割、Y子さんが自宅を相続するけれども、Aさんに3000万円を支払わなければならない。となります。
しかし、Y子さんが不動産の取得を希望しても代償金3000万円を支払う資力がない場合は、④の換価分割、自宅を売却して、代金を2分の1ずつ分ける。となります。
Xさん、Y子さんの双方が不動産を取得することを希望し、売却することは全く希望しない場合で、2人とも代償金を支払う資力がないような場合は、①の共有分割となり、Xさん、Y子さんの2分の1ずつの共有とする。となる可能性があります。
どの分割方法を取っても一長一短、メリット・デメリットがあります。遺産分割で揉めるような相続人同士で、共有にすれば、将来不動産の管理や処分を巡って揉めることは必至です。
したがって、共有分割は将来の紛争を招くだけなので、私はお勧めしていません。現物分割ができるのであれば、現物分割をして分けるのもいいですが、実際は現物分割ができるケースは限られています。そこで、代償分割か換価分割で分けるのがよいと思います。
簡単で、公平な分割ということを考えると、売って代金を分ける換価分割が揉めずにすんでよいと思います。
しかし、不動産を財産として持っていたい、自分が住みたい、不動産は将来値上がりする可能性がある、貸せば不労所得が得られる等々不動産を取得したいという希望もあるでしょうから、そのケース毎に事情を踏まえて分け方を考えていく必要があります。
高島 秀行
高島総合法律事務所
代表弁護士
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