
「確定申告するのが面倒くさい」「節税したいけど、どうしたらいいか分からない」……、毎年このような声をよく聞く。日本の税制は、納税者自ら確定申告をする「申告納税制度」で、申告内容の一部は納税者の選択に委ねられているのだ。申告相談に携わった元国税専門官が、節税にはどっちが得なのか、プロの税金術を公開する。本連載は小林義崇著『元国税専門官が教える! 確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち?』(河出書房新社) より一部を抜粋し、再編集したものです。
確定申告、「多めに申告」「少なめに申告」どっち?
正解:追徴税を確実に避けるには、「多めに申告」が安心
確定申告の内容に不安があったとしても、期限内に申告書を出すことをすすめました。では、もし間違えるのであれば、「多めに申告する」と「少なめに申告する」では、どちらがいいのでしょうか?
これはおわかりでしょう。多めに申告をするほうが、あとあとの追徴税を避けるうえでは有効です。加算税や延滞税は、本来の税金の申告や納税に対して「不足」する場合に課せられるものですから、多めに申告・納税しておけば、追徴税はかかりません。

もちろん、あとから確定申告のやり直しをすれば、納めすぎた税金は戻ってくるので、安心です。では、確定申告をやり直す手続きについてここで整理しておきましょう。基本的につぎの4パターンの方法があります。
①確定申告の期限内に申告をやり直す場合→訂正申告
②本来の税額よりも少なく申告していて、期限を過ぎてからやり直す場合→修正申告
③期限内に申告をしていなかった場合→期限後申告
④本来の税額よりも多く申告していたので、期限を過ぎてからやり直す場合→更正の請求
もし、多めの税額で確定申告をしていたのなら、更正の請求書と添付書類を提出すると、税務署にて審査がおこなわれ、問題がなければ還付金が戻ってきます。還付金が戻ってくるタイミングは、通常、「更正の請求を提出した日から3か月以内」です。
更正の請求をできる期間については、原則として「法定申告期限から5年」というルールになっています。たとえば令和元年分の所得税であれば、法定申告期限は令和2年3月16日(3月15日は日曜なので、16日になります)ですから、この日から5年以内に更正の請求の手続きをすることができます。以前は、更正の請求をできる期間は1年だったのですが、いまはある程度あわてずに手続きできるようになっています。