ヘッジファンドに関心はあるけれども、情報が少なく、二の足を踏んでいる人も多いでしょう。本連載では、ヘッジファンドマネージャーから直接話を聞き、その実態を明らかにします。前回に続いて話を伺うのは、国内ヘッジファンドの先駆けである株式会社GCIアセット・マネジメントの山内英貴氏。2020年のコロナ禍でも約20%のリターンをあげた運用戦略とは?

2020年のコロナ禍でも約20%のリターンをあげる

人間の感情を排除した「システマティックな運用」を得意にしているという。
2020年のコロナ禍でも、約20%のリターンをあげたという。

 

――人間の感情を入れない「システム運用」を得意にしており、相場が大きく動いたときに利益が出るということですが、2020年のコロナ禍での運用成績はどうだったのでしょうか?

 

2020年に最も好調だったのがロンドンで運用している戦略で、年間で50%近いリターンでした。その他にも、20%くらいの戦略もありました。

 

マイナスで終わった戦略もありますが、私自身が運用責任者を務めているGCI全体のポートフォリオでは、年5%くらいのリスクに対して、20%くらいのプラスとなりました。

システム運用の妙味は「人間が考えない判断」をする点

――リスクを抑えながら大きく勝つということですね。これを「システム運用」で実現しているということですが、新型コロナウイルスの感染拡大で相場が下がることを人間が予想してポジションを取った、というわけではないのですよね?

 

はい、そうです。繰り返しになりますが、自社戦略では、人の判断は基本的には入れません。ときには、人間が普通に考えたら「いや、それは違うでしょ!」「ここからまだショートするの?」などと色々と考えてしまうタイミングもありますが、そのようなときでも自分たちが構築したシステムを信じて戦略を走らせます。

 

モデル運用を人間が上書きしてしまうと長期的にはリターンが下がると思っていますし、お客様に対して「人間が判断を上書きすることなく、システムで淡々と運用します」と約束していますので、ここは信念を貫いています。その結果、去年のコロナ禍を挟んだ相場でも良好なリターンを得ることができました。

 

また、他の事例では、2016年の日銀マイナス金利導入、いわゆる「黒田バズーカ」に伴うJGBの暴騰や、イギリスがEU離脱を決めた「ブレグジット」の国民投票によるポンド急落、さらに遡れば2011年の東日本大震災と原発事故に伴う株価下落など、予想できない事象が招く市場混乱の局面で、結果的にそれぞれ単月で10%近いリターンを獲得しました。

 

このように、システマティックの運用の一番面白いところは、人間がなかなか考えないような投資判断や躊躇するような投資行動を淡々と継続するところにあります。

 

モデルは予想外のできごとを予想するのではなく、「ガンマ・ロング」のプロファイルを堅持しつつ、整斉とポジションを取り続けることが、予想外のリターンにつながることも少なくありません。そして、こうした投資判断メカニズムの分散が、ポートフォリオにおけるリスク分散に通じるのです。

 

 

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インタビュアー/冨中 則文(幻冬舎アセットマネジメント)

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