「業者のタイプ別の特徴」を把握しておく
業者のタイプをもう少し詳しく見ると、主に以下のタイプに分けられます。
●大手ハウスメーカー
全国チェーンで事業を展開している大手です。自宅をこのタイプのハウスメーカーで建てた場合、新築から数年後に外壁塗装を勧められることもあるでしょう。大手ハウスメーカーの良いところは、大手の安心感があるという点です。
悪質なことはしないでしょうし、担当者の対応もきちんとしています。経営不振で潰れる可能性も小さいため、塗装に不備などがあった場合の保証も安心できます。
注意点としては、実際の施工はハウスメーカーではなく、ハウスメーカーが発注する下請け業者が行うことがあるという点です。そのため、工事の質は下請け業者の力によって変わります。
また、ハウスメーカーから下請けに発注する構造は多重構造ですので、下請けや孫請けへの発注時に中間マージンが発生します。ハウスメーカーから下請け、下請けから孫請けへと仕事が流れるときに、仲介料としてハウスメーカーなどがお金を受け取るため、その分だけ材料や人件費として実際に使えるお金が少なくなります。
●工務店
ここでいう工務店は、社名に工務店と付いている大手のハウスメーカーのことではなく、地域密着型で事業をしている建築業者のことを指しています。依頼者であるお客さんから見ると、ハウスメーカーより距離感が近く、仕上がりについて細かな注文に応えてもらいやすいというメリットがあります。
例えば、ハウスメーカーの場合は自社グループで扱っている塗料(OEM塗料)しか使えないことがあります。仕上がりについても、あらかじめいくつかのパターンが決まっていて、そのなかから選ぶケースが多いといえます。
その点、工務店にはそのような縛りはありませんので、ハウスメーカーよりも柔軟に対応してもらうことができます。
ただし、工務店の方の塗装の知識は浅いので注意が必要ですし、工事の質は工務店の職人の腕次第です。保証やアフターメンテナンスの内容も工務店によってさまざまですので、工務店ごとの長所、短所を見極めることが大事です。
●リフォーム会社
外壁や屋根の塗装以外に、リフォーム工事もまとめて引き受ける業者です。最近はホームセンターや家電量販店などが窓口となり、リフォームや外壁塗装を受け付けているケースがあります。
トイレ、風呂、キッチンなどのリフォームを検討している場合は、このタイプの業者にメリットがあります。一度に依頼できますし、窓口が1つで済みます。塗装とリフォームをまとめることで工事費用が安くなる可能性がありますし、値引き交渉もしやすくなります。
ただ、大手ハウスメーカーの場合と同様に、実際の工事は下請け業者が行うことがほとんどですし、塗装の知識もカタログに書いてあることを知っている程度です。
その際に中間マージンが発生し、実際に工事をする業者の腕は分かりません。
また、依頼者、受注者(リフォーム業者)、下請け業者の三者でコミュニケーションすることになるため、依頼内容などが伝言ゲームになり、伝わりづらくなる点にも注意が必要です。
●塗装専門店
外壁塗装に特化した業者です。工務店と同様、塗装専門店も基本的には地域を商圏にしていますので、依頼者にとって距離が近く、仕上がりなどについての細かな注文に対応してもらいやすいという特徴があります。
また、外壁や屋根の塗装で事業をしていますので、その点での知識や技術力・対応力も安心できるといえるでしょう。
ただ、塗装専門店を名乗る業者は数多くありますが、そのなかには、依頼を受けるだで、実際は職人が1人もおらずすべての工事を下請けに丸投げしている業者もいます。それでは専門店と呼ぶには不十分です。
塗装について1から10まできちんと対応してもらうために、自社で職人を雇って教育しているかどうかを見極めることが重要です。
●訪問販売業者
営業担当者が町を回り、各家のインターフォンを押して外壁塗装の飛び込み営業をする業者です。
そもそもの話として訪問販売業者はお勧めできません。なぜなら、外壁塗装やリフォーム工事のクレームを見ていくと、このタイプの業者に依頼し、トラブルになっているケースが圧倒的に多いためです。
そのため、訪問販売業者が来た場合は、「そろそろ塗り替えが必要なのだな」と考える1つの材料にするくらいにとどめておくのがよいでしょう。
久保 信也
株式会社リペイント匠 代表取締役
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