コロナ禍で「機関投資家比率」が低下
機関投資家は日本株式市場の売買代金シェアのおよそ6~7割を占めています。一方、個人の売買シェアは2割ほどです。株式市場に圧倒的な影響を与えているのが機関投資家の動向です。
フィリピン株式市場における機関投資家のほとんどが外国人投資家です。2020年全体の平均では、1日の取引量の約50%が機関投資家になっています。2017年から2018年にかけての強気の相場の時には、機関投資家の割合は、1日の取引量の約70%を占めていました。
2020年はコロナによるロックダウンの影響を大きく受けたフィリピン市場においては、多くの外国人投資が売り越しに転じ、機関投資家の割合は50%程度に低下しています。
次に、時価総額に占める機関投資家の割合を見て行きます。これは長期的な投資家である場合もあれば、短期的な投資家である場合もあります。現在、これは26%です。しかし、強気相場の時には、これが31%程度でした。現在は、多くの外資系ファンドからの売りはすでにピークを超えたように見えます。
今年に入ってからのフィリピン市場の下げを牽引していたのが、外国人売りによるものです。そしてここ数ヵ月は実際に取引量が減少しています。1日の平均売買高は40〜50億ペソ程度です。強気の市場の時には、1日の取引量は90〜100億ペソ程度でした。取引量そのものが低い状態です。
フィリピン企業の株主構成…「アヤラ」を例に
フィリピン企業の代表銘柄である「アヤラコーポレーション」の株主を見ながら、フィリピン企業の一般的な株主構成を見て行きます。「アヤラコーポレーション」の場合、「アヤラファミリー」「アヤラグループ会社」「三菱商事」などの資本業務提携先などを含む固定株主の割合が57%です。ファンドなどの機関投資家の割合が20%で、流動株は23%程度です。
フィリピンでは「アヤラ」「SM」などの10大財閥が株式市場、経済で大きなポジション・力を持っていますが、これらの会社は、オーナーファミリー、グループ会社間で複雑な株式持ち合い構造を形成しています。
日本でもかつては、事業会社と銀行との株式持ち合い構造があり、流動株式が少なかったわけですが、フィリピンでは、まだこのような持ち合い構造が根強く存在しています。
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