日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回は、「コロナ禍の家計」についてみていきます。

コロナ禍で「旅行関連の消費」は半減

外出が制限されるなか、旅行等含む「教育娯楽サービス」や「外食」は大きく減少しました。特に「教育娯楽サービス」のなかの「宿泊料」は前年比48.0%、「パック旅行費」は前年比30.8%。旅行業界が窮地は、家計の状況からも見て取ることができます。

 

また「服飾関連」20%弱の減少となりました。そのなか「子ども用」のものは10%以下の減少に留まっています。一方で「生地・糸類」は前年比126.5%。巣ごもりのなか、ハンドメイドの需要が高まった影響と考えられます。

 

また「その他の消費支出」に含まれる「こづかい(使途不明金)」も前年比83.1%と大きく減少。リモートワークだったり、仕事終わりに飲みに行くこともなくなったりと、お金を使う機会が減ったからでしょう。「そんなに使わないでしょ」と、こづかいを減らされたお父さんも多かったのかもしれません。

 

【コロナ禍で前年比10%以上消費が減少した項目】

「教養娯楽サービス」前年比70.9%

「外食」前年比78.4%

「被服及び履物」前年比82.4%

「教育娯楽」前年比84.0%

「教育」前年比89.3%

「交通・通信」前年比90.0%

 

出所:総務省『家計調査』より

1人10万円の「給付金」消費や貯蓄だけでなく…

2020年の「平均消費志向(可処分所得に対する消費支出の割合)」は前年比90.3%。一方で「黒字率(可処分所得から消費支出を引いた黒字額を可処分所得で割ったもの)」120.6%、家計としてお金に余裕のあった1年だったといえます。

 

「世帯主の収入」は前年比98.5%と微減。また事業を行っている世帯の場合、「家賃収入」は77.8%になるなど、厳しい状況でした。一方で「世帯主の配偶者の収入」は前年比107.6%と、家計を下支えしています。さらに大きかったのが「特別収入」が前年比334.8%。これは、一人当たり10万円の特別定額給付金の影響。消費にまわった、まわっていないなど、評価は分かれるところですが、家計にとってはうれしい給付金になりました。

 

このように家計にはプラスになったコロナ禍。給付金を手にして、多くが貯蓄をしたかといえば、それだけではありません。「預貯金純増」が前年比119.1%でしたが、「個人・企業年金保険純増」が前年比281.3%、「有価証券純購入」が前年比261.7%。実際に給付金が使われたかどうかは推測ではありますが、投資行動を後押ししたものにはなったことは確かでしょう。

 

マイナスの影響がクローズアップされがちですが、コロナ禍によって、個人の資産運用の関心は高まり、実際に行動を起こした人は多くいました。年金だけでは老後は安心できないといわれている昨今。新型コロナウイルスの感染拡大は、少なからず、プラスの作用ももたらしているようです。

 

 

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