日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回は、「失業率」についてみていきます。

完全失業率…リーマンショック時と比べてみると

厚生労働省によると、2020年度の平均有効求人倍率(ハローワークに申し込んだ求職者1人当たりの求人数)は1.10倍(前年度比0.45ポイント減)で、1974年の第一次石油ショック後以来の下げ幅を記録しました。

 

また総務省『労働力調査』によると、2020年度平均の完全失業率は2.9%(前年度比0.6ポイント上昇)。悪化はリーマンショック後の2009年以来で、完全失業者数は36万人増の198万人に達しました。

 

ちなみに完全失業者は、「仕事がなくて調査週間中に少しも仕事をしなかった」「仕事があればすぐ就くことができる」「調査期間中に、仕事を探す活動や事業を始める準備をしていた(過去の求職活動の結果を待っている場合を含む)」という条件を満たしている人のことです。

 

平均有効求人倍率にせよ、完全失業率にせよ、どちらも落ち込みは新型コロナウイルスの感染拡大によるもの。特に打撃の大きい宿泊業、飲食サービス業での悪化が顕著だといいます。

 

今回のコロナ禍による影響は、何かとリーマンショック時と比較されます。2008年9月15日、米国の投資銀行リーマン・ブラザーズ・ホールディングスが経営破綻。世界規模の金融危機を引き起こしました。

 

当時の完全失業率を振り返ってみると、2008年8月は4.1%、9月も4.0%。このときはまだ、米国だけの話でしたが、その後、一気に世界規模の危機に。年明けから完全失業率は上昇し、2009年4月には5.0%。2010年11月まで、5%台の高い完全失業率を記録しました。ちなみに最高値は209年7月の5.5%。男性だけに限ると、このとき5.9%に達しています。

 

一方で、2020年初頭からのコロナ禍。2020年1月の完全失業室は2.4%。1回目の緊急事態宣言が発令された2020年4月に2.6%、5月に2.8%。そして8月には3.0%を記録。12月まで3%が続き、2021年に入ってからは2%後半で推移しています。

 

今回のコロナ禍はリーマンショックのときほど経済的インパクトはない、という見方があるのは、このような数値からでしょう。

 

またコロナ禍においては、雇用調整助成金の特例措置により、特に中小企業において社員の解雇まで至るケースが少なかったことが大きいかったとする見方がされています。ただ今後、特例措置は縮小するとされていますし、東京をはじめとする地域には三度緊急事態宣言が発令。新型コロナウイルス感染の収束までの道のりはまだまだ不透明で、この先、さらなる悪化も懸念されています。

 

これからどうなる…(※画像はイメージです/PIXTA)
これからどうなる…(※画像はイメージです/PIXTA)
 

 

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