ヘッジファンドに関心はあるけれども、情報が少なく、二の足を踏んでいる人も多いでしょう。そこでヘッジファンドマネージャーの話から、その実態を明らかにしていきます。前回に続いて話を伺うのは、国内ヘッジファンドの先駆けである株式会社GCIアセット・マネジメントの山内英貴氏。あえて「京都」で立ち上げたプロジェクトの狙いとは?

落ち着いて研究に集中し、「運用モデル」に取り入れる

――「京都ラボ」設立に関して、そもそもなぜ「京都」を選んだのでしょうか?

 

「和の環境」と「学究が盛んな地」、そして「大学が多くて学生が多い」の3つの条件が揃っている理想的な土地だと判断したからです。それに加えて、東京から距離が遠いのも意味があると思いました。

 

なぜなら、私たちが行う運用はシステマティックなので、人がマーケットに常に張り付いて値動きを見ながら瞬時に判断する必要がなく、またオフィスに集まる必要もないからです。そのため、落ち着いた環境で研究活動をするのもアリだと思いました。そのお陰で、京都大学ともご縁ができました。

 

――東京大学だけでなく、京都大学とも縁があるのですね。大学と共同で研究しているヘッジファンドは非常に珍しいと思うのですが、京都ラボでは具体的にどのような活動しているのでしょうか?

 

現在は京都大学の2人の先生方と共同研究を進めるとともに、主に関西圏の大学院生や若いポストドクター(博士研究員)たちを研究生として起用し、運用戦略の研究開発をしています。彼らの多くは元々、金融が専門ではないのですが、マーケットや運用に関心があるということで、積極的に受け入れています。

 

GCIの社員がメンターになるのですが、最初に研究テーマを決め、1~2年間、自分のペースで研究を進めてもらい、最終的には論文に仕上げることを目標にしています。なかなかハードルは高いですよ。

 

また、その過程で有用な実証研究があれば、私たちの運用モデルに取り入れたいと考えています。そして、そのような優秀な方で、もし資産運用の世界で勝負したいという方がいれば、弊社に入社してもらうこともあります。

 

京都ラボを立ち上げてから3年しか経っていないので具体的な成果はまだまだですが、「この世界は人材がすべて」なので、この取り組みは引き続き継続してまいります。

 

 

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インタビュアー/冨中 則文(幻冬舎アセットマネジメント)

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