勝手に「事務所使用」され、家主に追徴課税が!
居住用マンションの場合、居室を事務所として使用したり、シェアハウスに改装して宿泊営業したりすることを禁止している管理組合は少なくありません。
理由は、プライベートな住空間への不特定多数の出入りを避けることにあります。住人と無関係な人々の往来が無秩序を招き、生活環境に悪影響を及ぼすリスクを懸念しているのです。
しかし、入居希望者が「SOHO(自宅兼事務所)で使いたい」「友人と共同で暮らしたい」などと申し込んできた場合、管理規約上グレーであっても、OKしてしまう家主もいるでしょう。しかし、そこに落とし穴があるのです。
たとえば、ネット通販を主とするアクセサリー作家が、SOHO使用を目的に入居したとします。しかし、SOHOの範疇に留まらず、定期的に作品展や展示会などと称して共用廊下に看板を掲げ、玄関前に来客の行列ができるような事態となったら、完全に管理規約違反となってしまいます。
実際に、管理組合がこのような実態を税務署に通報し、家主が固定資産税の追徴課税(居住用税率から事務所用税率へアップ)を求められたケースもあります。
友人との共同使用も同様です。1人が契約者となり、固定の友人のみ居住させると誓約したにもかかわらず、実際はシェアハウス営業していた、というケースもあります。
管理組合から「不特定多数が出入りしている」とクレームが入ったため、家主が確認したところ、室内には複数の小部屋が造られており、そのなかに契約者の友人とは考えにくい外国人がいました。外国人はメモで「paid 30,000 yen for 2 weeks」と滞在権利を主張したため、契約者のルール違反が確定しました。
このように、申込み時には問題ないだろうと思っても、実際に入居すると想定外の事態になるケースがあります。家主としては、契約前の慎重なチェックと、入居後の定期的な確認が不可欠だといえるでしょう。