前回は、収益用不動産の利回りを決める3つの要素について説明しました。今回は、1つの物件で流動性と利回りの両方を追い求めることが難しい理由を見ていきます。

人気物件は流動性が高いが利回りは低くなる

金融資産に比べ、不動産は流動性が低いです。今回は不動産のなかでも、収益用不動産における流動性の比較をしたいと思います。

 

流動性とは、「売りたいと思ったときに、どのくらい早く売れて換金できるか」ということです。もちろん価格は、適正であることが前提となります。不動産を所有する場合、万が一のことを考えれば、売れないよりは売れるほうが良いに決まっているので、当然、流動性の高い物件が望ましいことになります。

 

では、流動性の高い物件とはどのような物件でしょうか。

 

簡単にいえば、みんなが買いたくなるような物件であり、具体的には、人気の場所に立地する物件です。東京都心部の物件は人気が高いために流動性が高く、適正な値段であればすぐに売れます。その逆で、地方に行けば行くほど流動性が落ちるというわけです。

 

みんなが買いたいと思う物件は、当然、家賃水準と比較して、価格(土地の値段)が高くなりますから、利回りが低くなります。つまり、流動性と利回りは、反比例の関係にあるのです。

流動性と利回りは「反比例」の関係

ここはなかなか難しい問題であり、両方を追い求めることはできません。ポイントは、流動性と利回りとの関係は反比例しているという前提をきちんと理解したうえで、資産形成のポートフォリオに組み込んでいく必要があるということです。

 

流動性の高い物件だけでは利回りが低く、キャッシュフローがマイナスになってしまいます。また、利回りの高い物件だけでは流動性が低く、万が一のときの換金において不安が残ります。1つの物件で両方を得ることはできませんから、バランスよく所有しておくということが重要になります。

本連載は、2012年6月27日刊行の書籍『年収1000万円から始める「アパート事業」による資産形成入門 [改訂版] 』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。
本書は情報の提供及び学習を主な目的としたものであり、著者独自の調査に基づいて執筆されています。実際の投資の成功を保証するものではなく、本書を用いた運用は必ずご自身の責任と判断によって行ってください。本書の内容に関して運用した結果については、著者及び幻冬舎グループはいかなる責任も負いかねます。

年収1000万円から始める  「アパート事業」による 資産形成入門

年収1000万円から始める 「アパート事業」による 資産形成入門

大谷 義武

幻冬舎メディアコンサルティング

大企業でも倒産する現在、自分の身は自分で守るべく、副収入としての投資を考える人が増えています。 そんななか、アパート事業による資産形成の火付け役となった本書が、改訂版としてパワーアップいたしました。不動産会社の…

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