スコットランド議会選、独立派が過半数となるも展開は不透明

英国は欧州連合(EU)から離脱しましたが、連合王国を構成するスコットランドはEU残留が根強く支持されています。そうした中、英国からの独立を巡る住民投票の実施を支持するスコットランド民族党(SNP)が単独で過半数を獲得できるかが注目された今回の選挙では1議席及びませんでした。独立の気運は後退したと見られます。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

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スコットランド議会選挙:SNPは第1党を確保するも単独で過半数に届かず

英国(連合王国)を構成する4地域の1つであるスコットランドで2021年5月6日に地方議会選挙が実施されました。開票の結果、選挙公約として23年末までに英国からの独立を巡る2度目の住民投票の実施を掲げている与党のスコットランド民族党(SNP)が全129議席のうち64議席を獲得しました(図表1参照)。第1党ながら、単独での過半数に届きませんでしたが、改選前議席を3議席上回りました。

 

出所:スコットランド議会のデータなどを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表1]21年5月のスコットランド議会選挙の結果 出所:スコットランド議会のデータなどを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

なお、SNP同様に住民投票の実施を支持する緑の党も8議席を獲得したため、独立派が過半数となりました。

どこに注目すべきか:スコットランド、独立、住民投票、英国ポンド

英国は欧州連合(EU)から離脱しましたが、連合王国を構成するスコットランドはEU残留が根強く支持されています。そうした中、英国からの独立を巡る住民投票の実施を支持するSNPが単独で過半数を獲得できるかが注目された今回の選挙では1議席及びませんでした。独立の気運は後退したと見られます。

 

まず、スコットランドの最初の住民投票を振り返ると、結果は独立賛成が約45%、反対が約55%で独立は否定されました。当時のキャメロン首相がスコットランドの自治権拡大を約束するなど、異例の対応で残留に努めた結果、独立を阻止できたという経緯があります。その意味で最初の住民投票は僅差の勝負であったといえます。

 

SNPは2度目の住民投票の実施を公約としています。英国がEU離脱を完了させる中、EU残留を支持するスコットランドの声を受けたものでしょう。SNPは過半数に1議席足りませんでしたが、緑の党と合わせれば独立派が過半数という格好は整っています。

 

しかし、市場の反応を見ても(図表2参照)、英国ポンドは上昇傾向を維持するなど、独立の気運は後退したと見られます。

 

日次、期間:2020年5月11日~2021年5月10日 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

[図表2]英国ポンド(対ドル)と英10年国債利回りの推移 日次、期間:2020年5月11日~2021年5月10日
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

選挙の結果(独立)を担保する住民投票の実施には英国議会の承認が必要とみられます。勝手に行ったのでは世論調査と変わらないからです。正式な住民当票の怖さを知る英国のジョンソン首相は住民投票の要請を一貫して拒否する構えです。英国政府との交渉を優位に進めるにはSNPの単独過半数が望ましいと考えられます。緑の党との寄り合い所帯の独立派を形成しても、一緒になれない点などを交渉で問われれば不利に働くことが懸念されます。

 

なお、承認が取れない場合SNPは法廷闘争を仕掛ける可能性もありますが展開は全く不透明で長期化も想定されます。

 

今回の選挙は住民投票より、その準備プロセスの開始を占う面がありました。SNPの過半数割れで当面、スコットランド独立がポンドの下押し要因となる懸念は、市場の動きを見る限り後退したと思われます。英国はワクチン接種で先行したことからポンドは回復基調でしたが、足元相場の材料としてワクチン接種の先行は賞味期限切れの印象も見られます。またスコットランドの独立問題は当面ポンドへ大きな影響を与えそうもありません。そうした中、今後のポンドの動向は、債券購入削減方針を巡る金融政策の動向が左右する展開を想定しています。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『スコットランド議会選、独立派が過半数となるも展開は不透明』を参照)。

 

(2021年5月11日)

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

 

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日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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