資産運用を始めようと思っても、誤った知識のまま始めてしまうと、あとから取り返しがつかないことになりかねません。運用経験が豊富な現役ファンドマネージャーの塚口直史氏が、正しい資産運用の知識を解説します。今回は、不動産投資を行う際の注意点についてです。※本連載は、同氏の著書『世界第3位のヘッジファンドマネージャーに日本の庶民でもできるお金の増やし方を訊いてみた。』(朝日新聞出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

不動産投資は「物件次第」でパフォーマンスが変わる

(※写真はイメージです/PIXTA)
不動産投資の本当の利回りの計算方法は?(※写真はイメージです/PIXTA)

 

外資系金融機関に勤めている人など、キャッシュリッチなサラリーマンが多額の資金を借りて何棟もアパートを保有するケースが目立っています。

 

キャッシュリッチでなくとも、それこそ公務員やOLまでもが大家さんになるという話はここのところ多く聞くようになりました。融資先に困っている銀行、特に地方銀行にとっても、これを慈雨としてどんどん貸し出しを増やしているということもニュースで話題になりました。

 

日本銀行の統計によると、2016年のアパートローン残高は統計開始以降で過去最大となったという報道もあります。さすがにこの状態を看過できないということで、金融庁や日銀がアパートローンの監視を強化し始めたのが2017年、そこからアパートローンの新規貸し出しは急減速をしたようです。不動産マーケットは融資環境によって大きく左右されるのは言うまでもありません。

 

これまでどんどんお金を貸してきたのがピタッと止まってしまうならば、不動産の値段が落ちていく可能性を否定できません。もし値段が下がっていくならば、銀行は貸し剝がしということで、これまで借りていた人たちに積極的に融資返済を求めることもあるでしょう(個人ではあり得ませんが、対企業ならあり得る話です)。

 

不動産の値段が上がるのを見込んで、それを担保にお金を貸していたわけですから、その担保価値が下がるのであれば、その分を返済というかたちで穴埋めする必要があるわけです。

 

あと、空室リスクの問題もあります。「不」動産ですから、世の中に同じものは一つとしてありません。そういう意味で、不動産市場全体でみるのはあまり適切ではありません。極めてミクロに、つまり一つ一つの物件次第でパフォーマンスは変わってくるということです。

 

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世界第3位のヘッジファンドマネージャーに日本の庶民でもできるお金の増やし方を訊いてみた

世界第3位のヘッジファンドマネージャーに日本の庶民でもできるお金の増やし方を訊いてみた

塚口 直史

朝日新聞出版

マイナス金利や人口減少による社会保障・年金不安で個人がお金のリスクをとらなければならない酷な時代がそこまで来ています。 本書は、元銀行員や経済評論家といったコメンテーターではない、グローバル市場で累計運用総額…

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