資産運用を始めようと思っても、誤った知識のまま始めてしまうと、あとから取り返しがつかないことになりかねません。運用経験が豊富な現役ファンドマネージャーの塚口直史氏が、正しい資産運用の知識を解説します。今回は、投資信託を選ぶ際の注意点についてです。※本連載は、同氏の著書『世界第3位のヘッジファンドマネージャーに日本の庶民でもできるお金の増やし方を訊いてみた。』(朝日新聞出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

「コストに見合ったリターン」の投資信託を選ぶ

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

投資信託でよく言われるのが、「手数料が低い投資信託が良い」ということですが、投資信託の良し悪しと手数料の低さはあまり関係がなく、投資対象資産に応じて適正な手数料体系があると考えています。

 

たとえば債券の金利が5%のときに、債券で運用する投資信託の手数料が0.5%でしたら、まあ安いと言えるでしょう。投資家の期待リターンもそれなりに確保できるわけです。

 

しかし、債券の金利が0%の場合であれば、手数料がたとえ0.2%でも高いということになります。期待リターンがマイナスになってしまいます。そうなると、手数料がいくら低くても、その投資信託は良いとは言い難いわけです。

 

また、「優れた投資信託は歴史が長い」ということもよく言われますが、一体どれくらい長いと良いのかというと、3年間を一つの目安にするとよいと思います。

 

といいますのも、投資信託を新しく設立する時にコストが発生します。たとえば、目論見書の作成にかかる弁護士費用などです。そういったコストはだいたい3年間で均等に償却していきますので、3年後からは設立コストがすべてクリアになった状態ということになります。

 

言い換えれば、3年間きちんと投資家から資金が集まり、それでパフォーマンスもきちっと出して生き延びた投資信託である、という証明になります。

 

あとは運用残高にも注目しましょう。最低でも30億円程度の運用残高がある投資信託を選ぶのが良いと言えます。

 

投資信託の運営費用は、投資対象にもよりますが500万〜1000万円です。30億円の運用残高があれば、1000万円のコストを支払う場合でも年間0.33%ということになりますので、これは許容範囲と言えると思います。

 

ただし、これも先ほどと同じで、最終的には投資対象資産によって判断すべきです。債券の金利が0%であるのに、年間0.33%というコストを払って得られる期待リターンはありません。

 

【KEY】
期待リターンが投資家にとって大切。手数料が安くても、そもそも期待リターンが低ければ投資をする意味がない。

 

杉原 杏璃 氏登壇!
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
(入場無料)今すぐ申し込む>>

次ページマイナス金利では「国債」で持つのはおすすめしない
世界第3位のヘッジファンドマネージャーに日本の庶民でもできるお金の増やし方を訊いてみた

世界第3位のヘッジファンドマネージャーに日本の庶民でもできるお金の増やし方を訊いてみた

塚口 直史

朝日新聞出版

マイナス金利や人口減少による社会保障・年金不安で個人がお金のリスクをとらなければならない酷な時代がそこまで来ています。 本書は、元銀行員や経済評論家といったコメンテーターではない、グローバル市場で累計運用総額…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧